遺書
【ネタバレ】フリースタイルダンジョン 2017年8月15日 放送 Vol.2【注意】
「お前のスタイルが王道になっちまうんだったら今後バトルの熱は相当冷める/それが正義だっていうヒップホップシーンなら俺は抜いた刀をそっと収めるよ」
これを聞くと無条件にNAIKA MCの「そっと収めて帰れよじゃあ!」という怒号と、ワイプで「ありえない!」と歓喜するCHICO CARLITOの姿が目に浮かびますな。それくらい衝撃的なフレーズでした。
ということで前回に引き続きフリースタイルダンジョン 8月15日放送分のレビュー?解説?をお送りしたいと思います。
さて、チャレンジャーは今年の2月にTEAM NGT3として登場、サイプレス上野をクリティカルで撃破した魅RIン。若干20歳ながらACEや崇勲に勝利したことがあるという。
対するモンスター、まぁブログの冒頭で思いっきりフレーズが書いてあるのでモロバレだとは思いますがICE BAHNからFORK。「RHYME SAVER」というキャッチフレーズがモノスゴくかっこいい。しかもそれが書いてあるジャケットを着用して登場。この男、ラップだけでなく佇まいも絵になる。
「腹は括ったぜフリースタイルダンジョン」という煽りVTR。チャレンジャーとしても隠れモンスターとしても文句のない存在感を見せたFORK。これはとんでもなくナイスな人選だと思う。
先攻はモンスター・FORK。
FORK
「オレは感じたんだよ 今がやる時だ/だから恐れずにここで開ける扉」
軽いジャブながら聞き心地の良い韻でスタート。
その後もコンスタントに4,5文字の韻を見せつけ、ワイプに映るモンスタールームの面々も大いに盛り上がっている。
「お前だけじゃねえ その先にいる全国の視聴者との勝負だ」
ラップをぶつける先は相手だけではなく、テレビの前にいる視聴者だ、と様々な方位に向けてラップを放った。
魅RIン
「自分のパンチライン自分で言って客上げるの そういうのせこいよマジで」
主張だけでなくしっかりとDisを放つ魅RIン。煽りVTRで使ったワードをバトル内でも使うことに苦言を呈する。さらに「ネタ仕込んだらそこでお終いでしょ」とFORKのラップはネタだと指摘。
「オンリー/ロンリコ/スローリー/論理/モーニングコーヒー」と細かい韻を畳みかけ、自分に会場の目を向ける。
FORK
魅RIンの「モーニングコーヒー」を受け「オレは絶対に売らないぜ媚び」と即興性をモロにアピール。その後、FORKには珍しくコンプラを連発。落ち着き払ったラップは一つ前に戦ったモンスター・輪入道とは対照的だ。
最後の一節「オレにとってはただの通過点だよ/お前がオムツにクソ漏らしてる頃から こっちはどっぷりHIP HOPに首まで浸かってんだよ」。
有無を言わせぬ見事なパンチライン。ワイプの般若も驚きにも近い表情を見せる。
魅RIン
後攻・魅RIンも観客の盛り上がりに負けず対抗。
「全部通過点だよ/でも何やるにもDo My Selfだろ?」
自分の存在感をガッツリとアピールするが、FORKへのアンサー性がやや薄い。
「どうでもいいぜ媚び 非売品 イマイチ/足りないリアリティ 気付け時代に」
魅RIンは最後の小節で細かな韻を魅せるのが巧い。
FORK
しかしその細やかな韻も「ここで踏みましたみたいなフロウやめろ 下品だ」と一蹴。魅RIンも手を振って「そんなことはない」とアピール。
決して感情を出さない冷静なDisを魅せるFORKの姿に、暗殺者のような不気味さが垣間見える。
「本物のライムは耳に焼き付く/後で気が付く そしてニヤつく」のフレーズは、FORK自らの韻の奥深さを魅RIンだけではなく視聴者にも再認識させた。
魅RIン
「誰に向けてんの さっきから観客ばっか見て」
自分に向き合わないFORKにチクリ。1バース目に続きここでも「仕込みライム」を指摘する。
郷土愛を見せた「背中に背負った新潟」から「男は背中」のフレーズはばっちりとビートにもハマり、審査員のLilyもニヤリ。
「言葉で語るより[韻と韻より]/[ピンポイント]に一滴ドロップ」と最後は6文字踏みを見せて1ROUND目は終了。両者とも観客・審査員に手堅くアピールを見せた試合だった。
1ROUND目の結果は、4対1でモンスター・FORKの勝利。
ゲスト審査員・KEITAは、フロウ巧者の魅RIン、いぶし銀・渋さ満点のFORK、どちらのボタンを押すか非常に悩んだとコメント。
2ROUND目、先攻後攻は変わらず。
FORK
しょっぱなから「オレに求められているのは結果だ」とモンスターとしての役割を果たそうという覚悟が見えるフレーズがキマる。もちろんRHYME SAVER、「そういう口喧嘩だ」「何を見せていけっかだ」と短いながらも頭に残る韻をバシバシと披露。
さらにその直後「オレは常に定価だ/つまり安売りしねえし 二つの意味で値を上げることもねえんだ」と追い打ち。「値を上げる」「音を上げる」の二つを掛けたクレバーなフレーズには審査員のKEN THE 390も手を挙げて賞賛。「お前じゃ勝てねえ」とROUND1よりもDis具合を上げてきた。「一言で言うならMellow Akiraだ」とLick-Gの楽曲を持ち出し、「諦めろ」と進言。
魅RIン
それをすぐに察知した魅RIンは「諦めろって言われて諦めねえのがラッパーじゃねえのかよ」と応戦、他人の楽曲のタイトルを借りてラップするな、とズバリ斬る一節。
あくまで自分の言葉でラップをしろ、と堂々とベテランに言い放つ度胸はさすが若手有望株と言われるだけある。
「値は上げないが媚び売らない/オレも頭は下げない 尻尾は触れない」
滑舌の良さも相まって二文字ながら「ない」の応酬がしっかりと響く。
FORK
ここからFORKのスタイルがやや変化する。
「Keep On Movin'/押韻主義」と二音でのみ踏んでいるにも関わらず全踏みと錯覚してしまうようなフロウを見せる。
さらに「絶対に話の筋は通す」と司会者であるUZIの名ライムを拝借。
先程、他人のライムを使ったことに対してDisを放ってきた魅RIンを「これは先人の言葉」と牽制。その上「最近のMC 全員のことだ」とここで伝家の宝刀・全文字踏みがグサリと決まる。
テクニカルな業を見せつつつも、「お前のライムは退屈なんだよ」とバッサリ斬捨て御免。
魅RIン
最近のMC、と一括りにされたことに憤りを見せる魅RIンは
「これでも4年マイク持ってやってんだよ」と声を荒げる。
その後の「アイツの顔 消えない跡」というのは過去に敗北を喫したバトル相手の事だろうか。「Many Moment/Microphoneでここにめり込んでる」のフレーズは文脈の正否は置いといて耳にスッと入ってくる気持ちのいいライミングだった。最後のフレーズはビートを聴き誤ったか、これまでの巧みなビートアプローチから少し崩れたように感じた。
FORK
「売れるか売れないかより大事なもんがある/それはオレがブレるかブレないかだ」
魅RIンは「それは違う」という言わんばかりに指を横に振る。
その後の「売れりゃそれが一番いいもんだって言うんだったら世界一うまいラーメンはカップラーメンってことになるな」は、知る人ぞ知るTHE BLUE HEARTSの甲本ヒロトが雑誌のインタビューで言ったとされる言葉。
次のバースで魅RIンも指摘するが、ここでFORKが売れる/売れないの話に結びつけた理由は分からない。「これでも4年マイク持ってやってんだよ」というフレーズをここに結び付けたのだろうか。
しかし安定のライム職人、「分かるかこの繊細な味付け/分かってる奴がオレのライムを嗅ぎつけるんだよ」と本物志向に向けての十分なアピール。
魅RIン
一発目の「そのカップラーメンもみりんを注いで台無しにしてやるからよ」は非常にユニークでキレキレなアンサーだった。いとうせいこうも手を叩いて大喜び。
ここで冷静さを取り戻したか、「売れる売れねえがどうこう そんな話してないのに/やっぱ入ってるぜオレのテリトリー」と痛いとこを突く。個人的にはこの「オレのテリトリー」のフロウがビートに見事収まっていて好きだった。
「落とされるフロウの違いを見てみりゃわかるっしょ」と少しイラついたような口調でROUND2は終了。
対NAIKA MCほどではないが、「フロウの魅RIン」「韻のFORK」とある種スタイルウォーズを体現した今回の戦いは、クリティカルヒットでモンスター・FORKの制した。
私見としては、やはりFORKはベテランだけあって「観客の目を寄せ付ける業」を熟知していると感じた。
「次はどんな韻を踏むんだろう」と思ってしまった時点で、意識がFORKに向いてしまう。こうなってしまうと対戦相手は非常にやりづらいだろう。呂布カルマが自らをクールコアと称するが、それと同等かそれ以上にクールで不気味な佇まいはベテランならではの貫禄とも言い換えることができるだろう。
彼も輪入道同様、新生・フリースタイルダンジョンの大きな壁として立ちはだかってほしいと思う。
残る新モンスターは2人。
ネタバレでは「幅跳び10mくらい飛びそうな人」(by 千鳥 大悟)
そして「たまにニュースラップをやってる人」との噂ですが・・果たして本当でしょうか?
来週の放送を待つべし!!
追記・「魅RIン」という言葉がもちろん一発変換できるわけがなく、今回はctrl+Vに大変お世話になったブログでした。
【ネタバレ】フリースタイルダンジョン 2017年8月15日 放送 Vol.1 【注意】
さて、8月15日放送のフリースタイルダンジョン。
新モンスターが参入してから2度目の放送となった。
前回は新モンスターとして裂固、そして呂布カルマが登場。
見事にチャレンジャーを撃破した。
そして今回、新モンスターとして登場したのは輪入道・FORKの二人。
輪入道と対戦したのは雄猿。どの二人は同じ千葉出身らしく、雄猿は「誰がいるか知らないですけど、千葉の奴が出てきてほしいですね」と輪入道を明らかに意識したような発言。バトル内容にもその地元テイストが色濃く反映されていた。
雄猿
先攻・雄猿が「ペット/マペット」などの短いながらも的確なライミングで観客にアピール。ビートアプローチも上手く、好勝負を期待させる展開。
1バース目のラスト「お前をプッシュする大人達は 崖の上でも同じ事すんぞ」
という比喩とダブルミーニングを巧く魅せたラインで会場は大盛り上がり。
輪入道
「オレがどこの誰にプッシュされてるのか教えてくれ」
あくまで自分の力でのし上がってきたとアンサー。モンスターとしての重圧を全て吐き出しているかのような血管バリバリのラップ、重圧感が他のラッパーとは明らかに違う。
雄猿
2バース目でステージ上の空気はガラリと変わった。
雄猿「ここでネタバレ、今回 新モンスターが強いで終わる回らしいよ」と強烈なブッコミ。
このラインにはバトル終了後、審査員はボタンを押すことを躊躇ったのではなかろうか。モンスターや審査員のみならず、オーガナイザーのZEEBRA、司会のUZI、果てはテレビ朝日まで敵に回しかねない捨て身の戦法だと言える。
輪入道
しかしそれに全く臆さない輪入道。
「あんまり調子乗ってよ 適当に嘘ばっか並べてんじゃねえ」
感情を前に出すスタイルに定評のある輪入道だが、雄猿のブッコミによってその度合いが増す。
「同じ千葉なのにお前が今何しているのか分からん」
「地元のリリパで250人 入れたオレからすりゃ お前が千葉って言ってること自体が嘘くせえんだよ」
千葉を背負ってる気合がよく分かる小節。
ただの感情論ではなく、しっかりとビートに乗りながら筋の通ったラップでアンサーをこなすあたり、輪入道の凄みを十二分に感じることができる1ROUND目だった。
1ROUNDの結果は1対4で輪入道の勝利。
続く2ROUND目、先攻と後攻が入れ替わる。
輪入道
1ROUND目のブッコミに気が治まらないのか、
「大人の搾取だとか こいつが言ってる事とか全部ねぇ」
「地元同じだけどマジで恥ずかしいぜ」 と、1ROUND目よりも明らかに殺気立った印象。
雄猿
対する雄猿はニヤつきながらも輪入道の
「地元(千葉)で何してんだっけ?」というDisに
「地元を上げるためにやってる、お前と一緒だろ」とアンサー。
ここで大きく頷く輪入道の姿が印象的。
「ここでボコボコにする輪入道弘/お前そんなにして何を生き急ぐ」
輪入道の本名をサラリと暴露。しかも「道弘/生き急ぐ」とライミングアピールもばっちり。
輪入道
再度火が点いたモンスター・輪入道。
雄猿のアンサーが的を射ていないことに言葉尻も荒くなる。。
「噛ませ犬がムカつくから? なんだそりゃ 死ねやお前」というNAIKA MCばりの大暴言も飛び出した。
「日本語の使い方すらなってねえ だから(コンプラ)のラッパーの方がまだマシなのかもしれねえ」
アブない姿から放たれた満を持してのコンプラ。内容からして差別用語だろうか?
雄猿
2バース目・雄猿。輪入道の気迫に押されたのかフロウもアンサーも先ほど
より弱まっている印象。
「WQW 六歌仙 PREDATOR BANG/松戸のMUTANT ザグにSC」
千葉の先人ラッパー達の名前を挙げ、「この人たちが作り上げたんだ」とアピール。「千葉を知らなきゃハドソンだぜ」のというラインは恐らくゲーム会社HUDSONの「やらなきゃハドソン」というキャッチコピーをもじったものだと思われるが、平成生まれには分かんだろうな・・・としみじみ。
輪入道
「今言ったレジェンド全員にオレの名前行ってみろ/全員オレが千葉の輪入道で認めるし知ってっからな」
完全にアドレナリン全開状態の輪入道、このゾーンに入ると本当に強い。
フリースタイルダンジョンでは何度か聞いたことのある「お前の事なんて誰も知らねえ」というDis、輪入道はさらにここに付け加え「それが悪いっつってんじゃねぇ、そっから何始めんのか聞いてんだよ」と問いただす。
過去にこの二人はMCバトルで対戦しているらしく、そのことを引き合いに出し「お前 オレに負けた時から何も変わってねえ」と、昨年UMB千葉予選に優勝した雄猿に疑問を投げかけるシメで最終バースへ。
雄猿
「どこ上げてぇんだよ?徳之島?/俺は地元 住所Rep 曲も千葉」
輪入道の楽曲「徳之島」を槍玉にあげ、自分の方が地元を上げようとしていると主張。その後も「オレがこの場で変える時だ/オレが唯一上げるのは松戸市だ」と4小節しっかりと韻を踏みながら〆るも、十分なアピールにはならず。
結果は輪入道のクリティカルヒット勝利。
しかし本当にゾーンに入った時の輪入道は強い。
あれだけ感情をぶつけた上で、つっかえる事もなく的確に相手にDisやアンサーを返す能力の高さは今後、チャレンジャーにとって大きな壁になりうることは間違いないだろう。
いやはや、素晴らしい戦いでした。
次回はFORK vs 魅RIンを解説!
