■最後に、彼の声が響いた(2023/04/13作成) | marco1962のブログ

marco1962のブログ

ブログの説明を入力します。

私が勤める事業所には、障害があったり、重い病だったり、難病と共に生きたり、する人が多く勤めている。

そこで、作業指導や生活支援をするのが私の仕事である。

よくある仕事の一つが、BOXコンテナへのラベル貼りだ。

先日も何名かで、朝からラベル貼りを始めた。

最近入社の若手メンバーが、片手で貼っているのを見かけたので「両手で貼ろう!」と注意喚起した。

そうした指摘は、いつもの仕事のひとつだ。

自慢じゃないが、油断すると、本当にビックリするような間違いが日常的に起こったりする。

ま、それはともかく・・・^^;。

しばらくすると、また片手で貼っている彼を目撃する。

再び、注意するはめになった。

「ちゃんと両手を使って貼りましょう。」

この後、3回目の注意にもさほど時間はかからなかった。

私は頭をひねった。

なぜだろう?と思う。

言うことを聞かない人ではないがなぁ、と思う。

少し観察したら、理由が分かった。

一方の手にラベルを持ったまま貼っている。

たぶん、これが原因だろう。

そして、まずは、ラベルを下に置くよう強めに指示を出した。

これで、両手が使えるようになる。

両手が自由になったところで、両手で貼ることを教えた。

めでたし、めでたし(^^)。

ところが・・・である。

安心した頃にもう一度チェックに行ったら、なんと、両手とも空いているのに、やはり片手で貼っている彼を見かけることになる(;;)。

なぜに!?

仕方なく、しばらく横につくことにした。

彼にとってはやりづらい状況である。

また注意されるかもしれないからだ。

だが。

やはり、片手なのだ。

けれども、問題ない程度には貼れていることに気づく。

その上、作業スピードが早くなっている。

???

ひょっとして、片手の方がやりやすいのか?

今回は、奥まった狭いエリアにラベルを貼る作業だ。

両手だと、手自体が視野の邪魔をして、上下左右のバランスが取りづらいのではないか?

バランスを取るのは両手でじゃないとできない・・・というのは、”いつも”でなくて良いのでは?

自分の思い込みにゾッとする。

結果が良ければ、何の問題もないからだ。

しばらくの間、見守ることに決めた。

思った以上に、片手でうまいこと貼れていく。

自分の指示を聞かない(やり方が違う)というだけで、注意し続けるのは愚行かもな、と思った。

彼らしいやり方でうまく行くなら、それで良いのだ。

自分が貼るコンテナの分だけ運べばよい、という指示をしたのに、他人の分も運んでくれたのは彼だけだ。

仮に失敗が出たとしても、全部、私が直せば良いのだ(T_T)。

実は、別のスタッフが見ているときに失敗があった。

両手で貼るよう厳しく注意もされた。

私の注意と同様、この時も両手で貼り直した。

そう思わせる立場の人だったこともあるが・・・。

その後も彼は、やはり、片手での位置決めを変えようとはしなかった。

「終わりましたぁ。」

最後に、彼の声が響いた。