私が勤める事業所には、障害があったり、重い病だったり、難病と共に生きたり、する人が多く勤めている。
そこで、作業指導や生活支援をするのが私の仕事である。
よくある仕事の一つが、BOXコンテナへのラベル貼りだ。
先日も何名かで、朝からラベル貼りを始めた。
最近入社の若手メンバーが、片手で貼っているのを見かけたので「両手で貼ろう!」と注意喚起した。
そうした指摘は、いつもの仕事のひとつだ。
自慢じゃないが、油断すると、本当にビックリするような間違いが日常的に起こったりする。
ま、それはともかく・・・^^;。
しばらくすると、また片手で貼っている彼を目撃する。
再び、注意するはめになった。
「ちゃんと両手を使って貼りましょう。」
この後、3回目の注意にもさほど時間はかからなかった。
私は頭をひねった。
なぜだろう?と思う。
言うことを聞かない人ではないがなぁ、と思う。
少し観察したら、理由が分かった。
一方の手にラベルを持ったまま貼っている。
たぶん、これが原因だろう。
そして、まずは、ラベルを下に置くよう強めに指示を出した。
これで、両手が使えるようになる。
両手が自由になったところで、両手で貼ることを教えた。
めでたし、めでたし(^^)。
ところが・・・である。
安心した頃にもう一度チェックに行ったら、なんと、両手とも空いているのに、やはり片手で貼っている彼を見かけることになる(;;)。
なぜに!?
仕方なく、しばらく横につくことにした。
彼にとってはやりづらい状況である。
また注意されるかもしれないからだ。
だが。
やはり、片手なのだ。
けれども、問題ない程度には貼れていることに気づく。
その上、作業スピードが早くなっている。
???
ひょっとして、片手の方がやりやすいのか?
今回は、奥まった狭いエリアにラベルを貼る作業だ。
両手だと、手自体が視野の邪魔をして、上下左右のバランスが取りづらいのではないか?
バランスを取るのは両手でじゃないとできない・・・というのは、”いつも”でなくて良いのでは?
自分の思い込みにゾッとする。
結果が良ければ、何の問題もないからだ。
しばらくの間、見守ることに決めた。
思った以上に、片手でうまいこと貼れていく。
自分の指示を聞かない(やり方が違う)というだけで、注意し続けるのは愚行かもな、と思った。
彼らしいやり方でうまく行くなら、それで良いのだ。
自分が貼るコンテナの分だけ運べばよい、という指示をしたのに、他人の分も運んでくれたのは彼だけだ。
仮に失敗が出たとしても、全部、私が直せば良いのだ(T_T)。
実は、別のスタッフが見ているときに失敗があった。
両手で貼るよう厳しく注意もされた。
私の注意と同様、この時も両手で貼り直した。
そう思わせる立場の人だったこともあるが・・・。
その後も彼は、やはり、片手での位置決めを変えようとはしなかった。
「終わりましたぁ。」
最後に、彼の声が響いた。