夫です。

先週、祖母が他界しました。

「オレは、そろそろ逝くぞ」。
と数年前から言っていた97歳の祖母。

体調も比較的よい中、本当にポックリと、苦しむこともなく、逝ったそうです。


クローバークローバークローバー

予知能力と思えるような不思議な洞察をする祖母は、一族のゴッドマザー的な存在。

私にとって、とても大きな存在でした。

祖母の訃報を聞いたとき、私は、20年前の祖母との深夜の語らいを思い出しました。

クローバー クローバー クローバー

20年前の私は、最初の就職で失敗。失意に落ち込んでいました。

田舎の祖母の家に泊まりきていた時、私は、転職による再起を決意しました。

一人、囲炉裏の前での決意。
興奮で眠れなかった私の前に、寝ていたはずの祖母が現れました。
深夜2時です。

祖母はその時、「決めたのか」と言ったのです。

驚く私に祖母は言います。

「オレはな、それは正しいと思うぞ」。

「正しい…かな。お婆ちゃん、そう思う?」

誰にも話していない、数分前の私の決断を知る祖母。

不思議ではありましたが、不思議なことの多い祖母だったので、私は受け入れていました。

「ああ、正しい」と祖母。「さっきな、お前の夢を見たんだ」

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 「その夢はな」と祖母。

「榊の葉にお天道様が当たらなくて、オレは、困っていたんだ。でもな、お前が榊を植え替えてくれてな。そしたらな、お天道様が榊に当たって喜んでな。テリテリ、テリテリ光ったんだど。見事なもんだ。だからな、決めたこと、やれ。必ず、いいことが起こるぞ」

あの時の、テリテリ、テリテリ、という表現は、今も忘れず覚えいます。

 「お婆ちゃん、オレはさ…」
私は、転職の決意のことを話そうとしました。

祖母は遮りました。
「言わなくたって分かってっぞ。孫のことだからな。大丈夫だ。オレが保証すっぞ」


私は、そうか祖母はすべてを知っているのだと納得して、「わかった。ありがとう。決めたこと、やるよ」と答えました。

それからの20年間、 私は天職に出会えて、しあわせな仕事人生を歩むことになりました。

自分にとってこれ以上に向いた職は無かった。そう思える天職との出会いでした。

その道に踏み出せたのは、祖母の後押しがあったため。

祖母の訃報を聞いた時、真っ先に思い出したのが、あの夜のことを思い出しました。

凄い人だったなと思います。

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一つよかったのは、祖母がまだ施設に入る前の元気だった二年前に、SAYOさんを紹介できたこと。

前の妻が病気で早死にした時、祖母は「なんでこんなオバヤンが生きているんだ」と泣き続けてくれたのです。

SAYOさんを連れて行った時の祖母の嬉しそうな顔。よかったな、オレも安心だ、と見たことのないニコニコ顔でした。

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告別式では、祖母から見れば曾孫にあたる私の息子が、ボロボロと涙をこぼしていました。

私は、あの深夜の囲炉裏で、祖母が言ってくれた言葉を思い出していました。

「榊にお天道様が当たってな。テリテリ、テリテリ光ったんだ」

ありがとう。
もっと光ってみせるからね。
と、祖母に誓いました。