生命医科学雑記帳 -2ページ目

生命医科学雑記帳

evernoteのバックアップ、twitterに投下した内容のまとめとして使います。
細心の注意は払っているつもりですが、未だ専門分野を持たない研修医であるため、正確性に欠けることがあります。悪しからず。

次のうちサルコイドーシスに関連する高カルシウム血症のメカニズムとして正しいものはどれか。
A. 肉芽病変の骨への直接浸潤による骨からのカルシウム放出
B. 腸管からのカルシウム吸収増加の直接刺激
C. 副甲状腺ホルモン産生の増加
D. 1,25-ジヒドロキシビタミンD産生の増加
E. 25-ヒドロキシビタミンD産生の増加


高カルシウム血症や高カルシウム尿症はサルコイドーシス患者の約10%に生じる。メカニズムは肉芽腫自体からの1,25-ジヒドロキシビタミンDの産生による。1,25-ジヒドロキシビタミンDは腸管からのカルシウム吸収を促進し、高カルシウム血症とそれによる副甲状腺ホルモンの抑制を引き起こす。食事や日光により増悪する。
答. D

【ビタミンDの生化学】

コレステロール中間体の7-でヒドロコレステロールに紫外線が作用し、プレビタミンDが生成される。その後非酵素的にコレカルシフェロール(ビタミンD)が生成される。皮膚由来や食事由来のビタミンDは血中ではDBPに運ばれ、肝臓でヒドロキシル化され、25-ヒドロキシビタミンD(カルシジオール)となる。腎でヒドロキシル化され、活性型の1,25-ジヒドロキシビタミンD(カルシトリール)が産生され、カルシウムの動態を制御する。カルシトリールの生合成はPTHに促進され、カルシウム、リン、カルシトリール自身により抑制される。

参考文献

Deeb KK, Trump DL, Johnson CS. Vitamin D signalling pathways in cancer: potential for anticancer therapeutics. Nat Rev Cancer. 2007;7:684-700.

マレー RKら(2011)『イラストレイテッド ハーパー生化学 原著28版』(上代淑人・清水孝雄監訳) pp. 555-6. 丸善出版社