大型連休中とあってかなり混雑していたが、生理学の歴史から比較解剖学、発生学まで盛りだくさんの内容。
心臓は血液を熱する器官であると考えられていた時代からハーヴェイの優れた観察から血液を循環される器官であると結論づけたことや、神経のネットワークについて、ゴルジ染色を開発したゴルジの網状説とゴルジ染色による詳細な観察から導き出したカハールのニューロン説の対立など有名な話は復習になったし、布施現之助や萬年甫の精密なスケッチには圧倒された。巨匠たちの実験器具には実物レプリカ含めてエネルギーを授けられた。
脳の比較解剖は"個体発生は系統発生を繰り返す"の好例であった。
腎の比較解剖も興味深く、魚の細長い腎は哺乳類の胎生期に見られる中腎にそっくりであった。
海生哺乳類のほとんどは腎臓が多数集まったreniculate kidneyのパターンをとるが、海の高浸透圧の環境に思いを馳せることができた。
江戸時代の子供の全身の骨の展示では、仙骨や寛骨の癒合過程を見ることができた。
特にゴリラの腕神経叢の標本は支配筋まで明らかにされており、分かりやすく感動した。
①神経幹
上神経幹←C5とC6
中神経幹←C7
下神経幹←C8とT1
(展示ではC4の走行が加えられており、T1は省略されていた)
②神経束
外側神経束←上神経幹と中神経幹
後神経束←上神経幹と中神経幹と下神経幹
内側神経束←下神経幹
③最終的な神経
外側神経束は筋皮神経を分枝し、加えて正中神経に寄与する。
後神経束は腋窩神経を分枝した後、橈骨神経になる。
内側神経束は正中神経に寄与する枝を出した後、尺骨神経になる。
④支配筋
烏口腕筋、上腕二頭筋←筋皮神経
円回内筋←正中神経
小円筋、三角筋←腋窩神経
上腕三頭筋←橈骨神経
図出典 Bromberg MB, Brachial plexus syndromes, UpToDate. 2017
