前世シリーズその8

*4年ほど前に書いたものです。


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自分は小さい頃から自分の名前に違和感があった。
クラスに1人はいるような平凡な名前。
一目で女の子だな、と分かる名前。
なんか違うんだよなぁ~と感じていた。


小学校に入った頃
親からは
「女の子なんだから自分の事は“私”と言いなさい。」と教わった。
しかし、これまた違和感があり“俺”とか“僕”を使っていた。
(当然親からはいつも怒られていた。)

どうにも今の名前に納得出来なかったので
親に名付ける時に他に候補にあがった名前があるか訊いてみた事があった。
しかしどれもシックリくるものでは無く、がっかりしたのだった。

当時女の子の友達は
お人形遊びやおままごとをして遊んでいたが
自分は人形が嫌いで超合金のロボットやミニカーを欲しがった。
そして野球や虫捕りが好きだった。
夏休みになると早朝から虫捕りに行ったり
夕方暗くなるまでキャッチボールをしていた。
女の子は甲子園に行けない事を知っていたが
甲子園に行くのが夢だった。

こんな事を書いていると性同一性障害の様だが
大人になった今、
ちゃんと異性を好きになり結婚もしたのでこれとも違うようだった。

結局そのまま自分の名前に違和感を持ちつつ大人になった訳だが
ある日こんな夢をみた。

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古い町並み、行き交う人も現代の人の格好とは違う。
『あぁ、またこの時代か・・・』
自分でも不思議なんだが、この時代が懐かしくて仕方がないのだ。
とても馴染みのある感じ。
TVなどでその時代の写真や映像が出る度に釘付けになってしまう。


先に書いておくが、この日の夢では自分は今の自分ではなかった。少年だった。
夢の中の自分はどこかへ向かって移動中だった。
強い義務感を感じながら○○へ行かなきゃと急いでいた。
町中を移動、丁度橋が見えてきた所だった。
突然すごい衝撃を感じて自分は倒れたようだった。
どれくらい経ったのか分からないが気を失っていたようだ。
爆弾にやられたか?
顔を上げ周囲を見ようとしたが
あまり周りが見えなかった。
目がかすみ、周囲は塵や煙だろうか?
もうもうとしていて
殆ど見えなかったのだ。
そしてすぐに意識が途切れた。


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誰かが自分の頭の上の方で名前を呼んでいるのが聞こえた。
男の子達の声が「おい!△△△(名前)!」「目を覚ませ!」やら
女の子達の声も聞こえた。
「××君(名字)大丈夫かな…」「しっかりして××君!」とか。
その時『あ、これって自分の名前じゃん!』とすんなり思えた名前だった。
如何にも男の子らしい名前だった。『なんで忘れてたんだろう・・・』

夢の中の自分は目を開けた。
しっかり瞼を上げたつもりだったが
何故か視界が狭かった。
自分は暗い建物の中に寝かせられているようだった。
部屋の入り口なのだろうか?それとも壁が壊れているのか?
よく分からないが、明るい方に人が数人立っている。
同級生(なのだろう)12,3歳の男の子や女の子が数人
こちらを心配そうに覗き込んでいた。
皆何処かしら怪我をしていて、酷い身形だった。
怪我した所にボロ布を巻いていたり、服があちこち破けていたり。
大きな怪我を負っていない子もかすり傷のような小さなキズが無数にあった。
包帯の代わりに巻いたであろう布は血とリンパ液?と埃でかなり汚れていた。

頭から右目にかけてボロ布を巻いた少年が説明してくれた。
◎◎橋の近くで倒れていたのを見つけて
大人に頼んでここまで運んでもらったんだ、との事。
(自分達だけでは運べなかったらしい。)
そして、他の同級生の名前をあげ、皆ダメだった(助からなかった)と。
△△△が助かって本当に良かったと泣いていた。

その説明を聞き終えて安心したのか、そこでまた意識が無くなった。


夢から覚めた。
自分の本当の名前が分かってとてもすっきりした気分だった。
夢の中の自分はあの後死んだのかもしれないが、長年疑問に思っていた事が氷解して
妙に清々しい気分だったのだ。
そして前は男の子だったから女の子らしくするのに抵抗があったのか、とか
小さい頃から祖父や祖母、母や伯父達からよく言われていた
「本当におまえは戦時中の子供みたいだなぁ。」という言葉と
繋がった気がしたのだった。
今でもそうなのだが、
どうも自分のやる事なす事が
周囲の人から見ると古臭いらしいのだ。


あの時分かった名前を今は忘れてしまっている。
夢でみた当時はちゃんと漢字でフルネームで覚えていた(思い出せた)のに。
なんで忘れてしまったんだろう?
夢から覚めて暫くはちゃんと覚えていた。
なのに紙に書くでも無し。
なんで記録しておかなかったのか今となっては悔やまれる。
しかし夢で本当の名前が分かった当初はこれで違和感の謎が解けた。
これからは新しい名前で生きていけばいいんだ!と思ったのだった。
そう考えたら昔の名前を簡単に忘れてしまったのだ。
覚えていたら、記録に残していたら
実際にいた人物だったのか検証出来たかもしれないのに。

あの夢って前世なんだろうか?
それとも単に夢だったのだろうか?