急性期病棟で生きてきた看護師が特養へ -4ページ目

急性期病棟で生きてきた看護師が特養へ

看護師を辞めて、新地に引っ越し。
連れ以外誰も知らない土地で、私が就いたのはイタリアンレストランのアルバイト。
でも、おじいちゃんやおばあちゃんの笑顔が忘れられない日々…
まだ見ぬ看護の現場、特養にまだまだ新人の私が潜入します。

まだ慣れない、重い利用者さんたちが集まるフロアを担当して今日で4日目。
こんなに4日間が長いとは思わなかった。
いや、でも、この先慣れていくのだと思う。

休みたい時に休めなくさせてくれる、現場のケアワーカー達。
今日も休憩中にピッチが鳴る鳴る鳴る…。

「すみません、4階の2グループですけど、2号室の〇〇さんが熱が37.2°Cあって……お風呂、入れていいですか?」

ケアワーカーさんからのご連絡。
他のバイタルを聞き、全く問題ないと思った。
熱発ならもっとグンと上がるしね…。
それよりなにより、午前中行った時部屋が蒸し風呂みたいだったし、身体ベタベタだったし、気温で左右される場合だってあるからそのままふつーに許可した。
先輩への相談も無しに。
いや、いらんだろ。
その後何事もなく入浴を終えた利用者さんは「さっぱりしたの今日♡」と満面の笑み。
体調悪くないなら、いいよ。

午前中は処置とか話の長い利用者さんにつかまったりとかして、記録は全く出来なかった。
認知症の人ばっかりで毎日挨拶に行っても「はぁぁぁ!看護師さん!ありがたい、ありがたい」の繰り返し。
ばあさん今日も元気に車椅子乗って、チラシとかテレビ眺めて…。
話し出したら止まらん止まらん。
喋りたいのだろうな。
誰か相手してやってー!
ってそこのお前だよ!と思うこともしばしば。
現場はオムツ交換とか、色々あるのだと思うけれども……業務と時間に追われるために居るんじゃないだろ、もっと他に出来ることあるだろ、と思う。
たった10人しかいないのに、軽介助がほとんどなのに、座ってお喋りしてんのに、なんで利用者さん座らせた後ゲラゲラ笑ってサボってんの?
信じらんない。
あたしは記録する時間すら惜しんで気になる人のとこに足運んでるっつーのに。
分からない奴には分からないんだ。と、思いながら事務所の席に座ろうとした時、またピッチが鳴る。

「あ!よ、4階の1グループなんですけど、入浴しようとしたら、〇△さんが嘔吐して…!」

はい、行きますー!
タバコ吸わせろー。
そのままエレベーターに乗って、4階の浴室へ。
そこには顔面蒼白で口からヨダレを垂らしてハァハァ言っているショートステイのおじいちゃん。
どうやら、入浴しようとしたら「気持ち悪い…」と言って嘔吐したらしい。
胃液様だったとのこと。
午前中も、便秘がどーのこーのって話してたから、多分それだと思う。
相談員にも報告して家族に電話してもらって摘便の許可いただきましたー。
てことは、摘便しまーす。
てことで摘便しました。
柔らかすぎて取れませんね。
このまま続けたら利用者さんが痛いだけなのでオシマイ。
なんだか質素な対応かもだけど、午前中、10分くらい腹部マッサージしたんだよ。
脳梗塞やってるおじいちゃんで、上手くお喋り出来ない人なんだけど、きっとお喋りが大好きなんだろうなって人。
飲み歩きが大好きで、今でも徘徊して居酒屋行っちゃうような人なんだよね。
お金はしっかり払っているみたい。
下腹部が硬いから、あるんだろうなぁ…と思いながらも、結局出ず。
吐いちゃって、途中でお風呂お預けにされてションボリ。
バイタルは問題なかったので、落ち着いたころに訪室しました。
ほっぺたはピンク色になっていたので、大丈夫でしょう。
「お腹、痛いですか?」
と、聞くと
「ここが痛いの」
と硬い部分を指してくる。
便だと思いたい…。
お腹の音を聞くと、かなり弱いから心配になる。
家では便秘はほとんどないとのこと。
環境の変化かねぇ。
基本的にショートステイの方には処置は出来ないので、家族に了承を得た摘便しかやりようがないのです。
明日帰るし、家で出たらいいね……そう思うしかない。
もはや飲酒して下痢になれば良いのではないかと思う。
特養とは、そんなところです。






まだ1ヶ月も経たない特養の看護師だけど、病棟ではありえないことがわんさかあるので書ききれない。
急変したら、どうしていいのか分からない。
AEDはあるらしいのだけど、何処にあるのか分からない。
そんな時はとりあえず心マして誰かを呼ぶしかないのだろう。
ターミナルの利用者さんの吸引ですら怖いよね。
モニターないからそのまま呼吸止まってもおかしくないよね。
入職してから1人亡くなったのだけど、亡くなる2、3日前の申し送りでは、「活気が上がってきた」的な話をしてた。
それ聞いた時は、もうマジでヤバいとこまできてるんだろうな、と思った。
死ぬ間際は、恐ろしいくらいに覚醒するから。
今まで低迷していた意識とは裏腹に、急に元気になったり、目を開けて何か言おうとしたり、声を出したり……。
低迷している人ほど、そうなったらヤバい。
誰もそうだとは言わないけれど、今まで看取ってきた患者さんはそうだった。
だから、今5階でもう近いターミナルの方がそうなったら、その時なんだと思う。
悲しいけど、そうなんだろうな。
最後のあがきじゃないけどさ。
せめて、綺麗なお気に入りのパジャマを着て、最期の時を迎えて欲しいな。
見守ってくれる人が誰か1人でも側にいて欲しいな。