もう笑えない

そうわかっているのに


貴方の笑顔

貴方の言葉

貴方の記憶


想い続けることが誇りだった

ただひたすらに愛し続けることが


あたしを突き動かす想い

今は錆びれた遠い過去


あたしが生きてきたこの命

何にも恥じることない尊く潔いもの

それが貴方への想い


届かぬものなら

伸ばした手を戻せばいい


叶わぬ想いなら

想うことを止めればいい


そう何度も自分に言い聞かせては

逃れ続けてきた日々


けれど

もうここでさよなら


実らぬ想いは心の奥底に

心の扉の鍵は砕いてしまおう


貴方を愛し続けられぬのなら

もう誰も愛さないように


愛なんて所詮

儚く散る夢幻



あたしはただ

貴方の帰る場所でありたかった



『ずっと忘れないよ
君と出逢った頃の
弾むような胸の鼓動』

14歳のあたし

あの頃のあたしは
純粋に人を想うことを
ちゃんと知っていた



ただひたすらに
貴方を想い続けた

それが報われぬ想い
そうわかっていても

想い続けることを
止められなかった

貴方のことが好きだから



『いつか忘れられるかな
君と出逢った頃の
弾むような胸の鼓動』

28歳のあたし

あの頃のあたしと
同じだけの歳を重ねて
辿り着いた答えは忘却


あたしの心はもう
貴方を想い続けられない


本当は違う
諦めと願いの狭間で

光が射すことを
信じ続けている


それでも…
心まで消えてしまいそう



あたしは醜い 心も体も魂も


心が死んだサマはまるで人形のようで
なのに体はソレのように美しくはない
歪んだ魂は時を重ねる程に朽ちていく


鏡の中のあたしを見つめて嘆いた
あぁ、どうしてコレを愛せようか
貴方が愛さないのは必然なのにね


犯すという醜悪な欲求
すべてを奪いたい衝動

貴方のその心も
貴方のその体も
貴方のその魂も


けれど、届きそうな手を離したのは
紛れもないあたしの拒絶反応なのだ
どこからともなく湧き出たのは不快


闇の底に巣喰う真実は…

昔、まだ子供だった頃

いつもの帰り道で
輝く星達を追いかけて
二人で夜空を見上げてた

他愛もない世間話
尽きることない時
二人だけの夢物語

息も白くなる冬
寒空の下だけど
心は温かかった

あれから何年経ったのだろう

夢と現実の狭間に溺れ
行ったり来りの毎日
そして行き着いた場所

それは冷たい独りの心
今いる場所はリアル

それでも望むのは
貴方と二人いた夢世界


ふと見上げた星空
何年経っても変わらない

『いつか空いっぱいの星を見に行こう』

果たされることのない
遠い約束を思い出した
どうしてそんなに優しい声なの?
どうしてそんなに温い笑顔なの?

精一杯に離れる努力をしているの
貴方がいなくても大丈夫なように

それなのに久しぶりに会った貴方は
いつもと変わらずむしろそれ以上に
あたしの心を揺さぶって戸惑わせて

貴方を少しでも側に感じられるように
ずっと肌身離さずにし続けた十字架も
貴方を思い出すからするのを止めたの

貴方と二人で書き続けた小さな物語も
この想いを隠せないからペンを置いた
ノートを開くことさえ止めてしまった

すべてを時の流れの忙しさのせいにして

本当は分かってる

この想いを実らせることも
この想いを捨て去ることも

あたしにはできないこと

何をしたって戻って来る
この儚い想いのもとへ

どんなに苦しくても
無数にある分れ道で
あたしはこの道を選ぶ