遺品整理屋はみた!! 天国へのお引っ越しのお手伝い
吉田太一
幻冬舎文庫
遺品と聞いて、ミステリーを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
であれば、ちょっと期待外れかもしれない。
この本の中で扱われる遺品は、ごくごく普通の遺品だ。
そこから犯人が割り出される事もなければ、事件に発展する事もない。
だが、遺品には色々な思いが残されてもいる。
そしてそれをめぐった小さなドラマがあちらこちらにある。
大切にされていたのだろう遺品もあれば、引き取り手のいない遺品もある。
残された人の思いもあれば、ただのゴミ(本当にゴミなのだ)が残っている場合もある。
誰かがなくなれば、大なり小なり遺品が生まれる。
それはどう処分されるのか。
この本の中で扱われている多くは、孤独死した人の遺品だが、
自分の立場に置き換えてみたときに、色々考えさせられた。
自分が今使っているパソコンも、ある意味自分が死ねば遺品になる。
残された人がそれをどうするのか。
そもそも私は温かく見守られて死に、思い出とともに遺品が処分されるのか。
孤独に死んで、業者の手によって綺麗に遺品が処分されるのか。
エンディングノート等、昨今売れていると聞いた事もあるが、
遠いいつか、ではなく、いつか自分にもやってくる時、とうけとめて、
今から考えておかなくてはいけないのかも知れない。
遺品と一緒にあるのは、たいていがご遺体だ。
なので、たまに、あまりリアルに想像したくないような描写もあるが、
それも一つの現実なのだと思う。