コロナ禍の米国の田舎町での市長選をめぐる物語。
なんだか創作ではなく、実際に起きた事件のように感じる。
狂った米国を凝縮した様な映画だ。
序盤はコロナ禍でマスクの着用をめぐって、市長とホアキン・フェニックス演じる保安官のジョーが対立し、ジョーが市長選に立候補する流れ。
ジョーは喘息持ちだから、マスクをしたくないというのが、日本人には理解できないかも。
その背景には心を病んだ妻(エマ・ストーンが『哀れなるものたち』に続き変)との夫婦関係の悩みがあったり、陰謀論にとらわれた義母を疎ましく思いながらもちょっと影響を受けたりといった問題も抱える。
中盤以降はスリラーな展開。
ジョーは恥をかかされ、殺人を繰り返すが、保安官として黒人の部下を容疑者にしてしまう。
そこから、ブラック・ライブス・マターや白人至上主義、アンティファに子どもへの性虐待といった米国が抱える問題が絡み合う。
陰謀論や心を病む人が多いのはこういう背景があるからなのだろう。
でも、そんな数々の問題があるのに皮肉っぽくて、笑えてしまうシーンも多い。
ラストも無茶苦茶だけど、これに近いことは今のアメリカなら起きてもおかしくないと感じさせる。
日本人でよかったと思うけど、アメリカ人はこの映画をどう観たのだろうか?

