私は何を隠そう女子校だった

女子校のバレンタインはすごい

なにがすごいって

朝から学校中甘い匂いがする

みんながタッパーにお菓子を山盛り入れて
朝から配給しまくるからだ

もうそれは無差別に行われる

歩いてる人を呼び止めては手当たり次第渡す

教室を端からまわりまるで大阪のおばちゃんが飴ちゃんを配るかのごとく片っ端から渡す

渡された方は
「ぇ~○○ちゃんチョーすごぉーい!天才~!私のなんかぜんぜん下手だけどあげるぅ~」みたいなお決まりのやりとりをしてから自分のも渡す
(リアクションは繰り返し)
失笑ものだ
ただし、お互いずけずけと言い合える仲こそ本当の仲良しと思っている奴らの場合はこれがすこし変化して
「うわー、なにこんなすごいの作ってきちゃってんの?マジウケル!キャラと違うww!」
となるわけである


そしてもしこの日にタッパーを忘れようものなら大変なことになる

なぜなら
おびただしい数の甘いものたちが
丸裸でどんどん手にのせられていくからだ。

持って帰るわけもいかないそれらは
胃袋に納めるほか方法がないのである

朝から放課後まで甘いもの地獄なのだ

断ればいいじゃないか。

そう思う人もいるだろう

甘い。


彼女たちは年に一度しかお菓子づくりなどしないのだ

にもかかわらず、バレンタインにおいしいお菓子をつくっちゃう私
を全力で妄想してお菓子を渡してくるのだ

たとえまずかろうが、食いたくなかろうが

それを断った瞬間
やつらの妄想に傷を付けた加害者として恨まれる理不尽な運命が待ち受けているのだ

そう
たとえ、てめぇこれに何と何いれたらこんな味になるんだ!
みたいなものや
これ食べらんないもんいれてんじゃないのか?!
みたいなものや
作れないならそんな難しそうなもん初めから挑戦してんじゃねぇ!
ってものをもらっても

笑顔で受け取り
わーすごいね☆
と言わなければいけないのだ(ここでの「すごいね」にはこんなもんを人に渡せるお前の精神はすごいねというようなあらゆる意味が含まれており、美味しいなどとは決して言ってやらない)

そして
もたれた胃袋のまま、部活にいかなければいけないという
苦痛な日なのである


ちなみに
ちょっと若くて顔が普通以上の男の教師は
職員室から教室への移動のたびに両手いっぱい抱えるほどのチョコレートをもらい
モテモテ気分が味わえる(ちゃんとラッピングしたものをもらえるから)