墓石の修理は本当に難しいんです。
先日、友人から親がお墓の修理をしようとしていて見積もりをもらったんですが、これは良いのか適正な価格なのか見て欲しいと電話がかかってきました。
それで友人に連絡をとりご両親と墓地に言って説明してきました。
「目地をするだけの簡易的な修理はお金が無駄になります。もっと他の方法を考えた方がいいと思います」と進言しました。
昨日友人にお墓の修理はどうなったのかと聞いたところ、石材店が提案した一番安い方法で修理することにしたと親が言ってたというのです。
「そっか、仕方ないな。でも芝石の下の石(納骨室の上の石)は一枚石を使って修理した方が将来の事を考えるとベストなんだよ」と言ったのですが、たぶん友人の親には伝わらないでしょうね。
中途半端に修理するなら数十年後に新しく建てかえる為にお金を使うな!
なぜなら数十年後にもう一度修理をするか、新しくお墓を建てかえなくてばならない状態なのです。
写真で説明するわけにもいかないので、またまた私の手書きの図で説明します。(汚くてすいません)
赤い線の箇所が縁が切れています。
下の部分からは雨が降ったら確実に納骨室に雨水が浸入します。
コンクリートの上にお墓が建てられています。
当時の工法だったのだから仕方ないんでしょうね。
施主は何の知識も無いわけですから石材店からこのような図面と見積もりをだされて素直に契約したんでしょうねえ。
知識のない一般消費者は良いお墓の建て方は分からないのですから、墓石営業マンとしては構造の良いお墓の提案をしてあげなくてはなあらないと思います。
ただ私の印象としては、
「なんでこんな簡単に、応急処置的な修理にしたのだろうか!?」という疑問だけが残りました。
このお墓で予想される修理は???
先ほどの図で赤い箇所が縁が切れて雨水が浸入されると考えられる箇所です。
このお墓で最良の修理は納骨室を完全に新しくすることです。
費用は100万円以上かかると思いますが、これからずっと安心できます。
方法としては、お墓を全部解体して基礎工事をやりなおして(左側が崖)納骨室を完全に作り直すことです。
そう、新しくお墓建てた場合比べても耐久年数は同じくらいです、ボンド使いますし。
友人の親が選択したのは「締め直し」です。
その費用は30万円ちょっとです。
このお墓の修理手順で正解な手段は??
このお墓を石も使わないで修理するには
- 魂抜きをする
- お墓を解体する
- 墓石を工場に持ちかえって研磨しなおす
- 基礎を補修する
- お墓を組みなおす
- 魂入れをする
まあ30万円以上はかかりますね。
ただ見積もり価格が高い石材店だったので、解体して組み直しをすろのかどうかは、、、分かりません。
ここ重要ですよ!マジで。
施主はどのように修理するのか聞いておりません。
ただ、「締め直しをします」と言われただけです。
「解体して組み直しをします」とは言われていないんですよ。
ということは、、、、、
下の開いた部分の石をジャッキなどを使って隙間をあけて石を合わせて(大きなゴムハンマーを使うのでは?)隙間を(とりあえずボンドは使うとは思いますが)無くす方法でしょう。
上のコンクリートの部分は目地のやり直しだけでしょうね。
というかこういう方法しかないんですよ。
解体しない場合は。
それと目地のやり直しと。
こんなのに30万円以上支払えますか?
と、皆さんは私のブログを読んでいるから、「もっと違う方法があるのでは?」と思う事だと思いますが一般消費者は修理もどれがいちばん良いのか分からないのです。
最後は価格だけで決めてしまいます。
このお墓、確実に数十年後には再び修理が発生します。
こんな中途半端な修理ですから。
数十年後にまた修理するなら、いま新しくお墓を建てかえたほうが安上がりですよ、本当に!
本当にお客様の事を考えたら中途半端な修理の提案なんてできませんよ
ハッキリ言います!
私はこんな中途半端な修理の提案はしません。
今回の修理は、施主に無駄なお金を使わせるだけです。
無駄なお金=石材店の収入
とりあえず価格は安い応急処置的な修理案を提案をしても、私だったらやりませんね。
「将来、大きな修理か建てかえの時のためにお金をとっておいて下さい」と言いますし、過去にも言ってきました。
他の石材店に修理を依頼されたとしても、「締め直し」などという安易な修理は引き受ける事は出来ないのですよ。
自分の信念を曲げるつもりはありません。
無駄なお金を使ってもらいたくないんです。
これが私の考えです。
今回は一緒に墓地に見に行って1週間くらいの事でした。
思いました、あまりにも近い関係だった場合は私のいう事は本気で聞いてもらえないのだな、、と。
なんだかせつなくなりました。
追記
少なくともこのように修理すれば良いかと。
大がかりな修理ではなく低予算でどのように修理すればいいのか考えてみました。
↑↑↑の青い斜線の部分なんですが、厚さ2寸(6cm)くらいの石を4枚貼るのです。
厚さが2寸必要なのは訳があって、石の厚さが6cm以上ないと石の裏に穴をあけて、立ち上がりの石にも穴をあけてピン止めできないからです。
ここ、かなり重要です。
ただし、この修理の場合はお墓の部分を外さなくてはなりませんので「魂抜き」が必要です。
もちろん完成時には「魂入れ」も必要です。
接着面はボンドを使えば上からの雨水は防ぐ事ができます。
追加で10万円~12,3万円はかかりますが。
一番下の石もボンドで接着して外側の目地もコーキングボンドを使えばいいでしょう。
修理するなら少なくとも、これくらいはしなくてはならないと思います。