持ち前の音感や、リズム感から、ドラムやたて笛、ギターの演奏は誰よりも上手だった。

 

 

 

相変わらずキレる場面も多かったが、好きなことが増えて、笑顔も増えた。

元々持っている周囲への優しさもどんどん増えていった

 

 

 

素敵さがどんどん増えた。

 

 

 

あるときから、バレーボールが好きになった。

 

最初は1対1でのやり取りだけだったが、楽しさを覚えるたびに、

チームでバレーボールすることを夢見るようになった。

 

 

 

 

高校には行ってみたいと思う

真剣なまなざしで伝えに来てくれた。

 

学校にいい思い出を持った経験があまりないのを知っていたので、

思わず「なんで?」と聞いた。

 

バレーボール、やりたいんだよね

 

「そうか、バレーボール好きだもんね」

 

理由はわかりやすいと感じたが、

正直、この子が“チームプレー”をすること、“ひととうまくやる”ことに全くイメージを持てなかった。

 

 

 

近所の定時制高校に入学し、バレーボール部に入部した

 

「周囲と合わずに、すぐ辞めてしまうかも」

入学・入部当初から、いつも不安な気持ちを、私は勝手に抱いていた。

 

 

 

あるとき、本人から、「今度試合があるんだよ!見に来てほしい!」と言われた。

「(試合?出場できるの?)」と思いながら、試合を見に行くことにした。

 

 

 

試合会場。

定時制のバレーボール部は、そもそも部員がチーム人数ギリギリだった。

チーム内での競争はなく、むしろ、いるメンバーで戦うしかないので、先輩も後輩も切磋琢磨して上手になろうとしていた。

笑顔が多く、明るくて、素敵なチームだった。

 

 

試合開始前。

背番号を審判に見せるために全員が同じ方向を向く場面があるのだが、

相変わらずとっさには状況が理解できず、本人だけそっぽ向いていた。

見かねた先輩がすぐに注意。

でも、注意した先輩は、にこにこしていた

 

おそらく、初めてのことではないのだろう。

そして、彼(本人)の性質をよく理解してくれているのだろう、とすぐにわかった。

本人も、にこにこしながら、自分がいるべき場所に、そして方向に向き直った。

 

 

試合開始。

バレーボールをにこにこしながらプレーしている彼の姿があった。

 

 

私の目からボロボロ涙があふれてきた

 

 

彼の性質を本当によく理解してくれている先輩たちや監督(先生)、周囲の目、

何より本当に楽しそうにプレーする彼の姿が本当に素敵だった

 

 

涙が止まらなかった

 

 

身体能力は非常に高く、周囲からもかわいがられていた。

当初、全く想像できなかったけど、みんなから認められ、

楽しく“チームプレー”している姿が印象的だった。

 

以降、部活を頑張り続け、

定時制・通信制の部で全国大会に進み、なんと全国2位を獲得した年もある

 

その後、無事に高校を卒業し、

好きなゲーム関連の専門学校に進み、IT関係会社に就職した。

 

 

 

 

 

 

 

当時を振り返り、彼が語ったことばに私は気づかれた。

ぜひ次回もご覧ください。

 

 

 

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