ボラと私〜後編〜 | MARV-log

ボラと私〜後編〜

子供の頃友達がやっていたバスフィッシングに魅力され、少ないお小遣いから色んな釣り具を購入。しかしその目当てのブラックバスは地元には生息しておらず、ブラックバスが釣れるポイントは一番近くの釣り場所ですら車で3〜40分。地元の海でひたすらルアーフィッシング(小魚や魚のエサに似せたものを使って釣る方法)をするが一向に何も釣れない。そんな時、大群で人前にも姿を現わす「ボラ」という魚を大きな釣り針でひっかけて釣るひっかけ釣りが流行りに流行りまくった。



これがボラ。何となく生々しいので写真ではなく絵を載せておきます。

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ひっかけ針がコチラ
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当時はこの釣り針50円くらい。釣り針を投げる際飛距離を出す為にこの釣り針にオモリをつけてあるやつもあった。それは120円くらい。


針そのものであるからして、投げた際に魚にはひっかからずにその辺の草木や岩にもよくひっかかったりもする。小学生の頃はこんな金額でも大金。手持ちの釣り針が無くなってしまい、途中で釣りを断念しなければいけない日もあった。


お金があれば…お金さえあればひっかけ針が買えるのに…良い竿やリールだって…世界を釣り上げる事だって可能だというのに!(根掛かり)




幼少期というものはそうやってグレていくものである。




どうしてもボラをひっかけたいが為に針がついていれば何でもいいと思い、ブラックバス用に大事にとっておいたルアー(1500円くらい)を使ってひっかけようともした。



こういうやつ↓
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もちろん下手くそだったのでルアーも根掛かりや草木にひっかかって無くしてしまう。小学生の自分には大変高価なモノなのでショックも大きかった。
MARV少年は何かを犠牲にしながら少しずつ大人の階段を上っていくのであった。






友達みんなでボラの大きさを競い合ったり、ボラの大群を見つける為に川と海を行ったりきたり…自転車で走り回るのが楽しかった。


防波堤に立ってみんなでひっかけ釣りをしながら話をする、ケータイも全く普及していない時代ではそんな日常が普通であった。


その日も私はひっかけ針がどこかにひっかけてしまい泣く泣く糸を切り、1メートルくらいの防波堤から降りて、ルアーをひっかけ針の替わりに糸にくくりつけ、どこで釣ろうかとウロウロしていた…その時であった。



グンッ!と頭が何かに引っ張られる感覚に襲われた。何があったのかすぐに理解できた。


釣りをしている友達の後ろを通った時、友達は自分には気付かずちょうどそのタイミングで釣竿を振りかぶり、ルアーが私の頭にひっかかってしまったのだ。


その友達は低学年の年下の男の子で、何度も何度も泣きながら自分に謝ってくれた。でも後ろを通った自分が悪いなぁと思った私は「大丈夫大丈夫」と言い、糸を切る為のペンチで刺さった針を抜こうとした。














しかし抜けなかった…






針の返しが皮膚を貫通していたのだ。
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釣り針のほとんどは抜こうとすると針の返しが食い込み、抜けないようになっているのである。


しかも遠くへ飛ばそうと力一杯振り抜いた勢いで針が刺さったので、そこそこ深く刺さっていた。





子供達ではどうしようもないので近くを通った車をとめ、病院に連れて行ってほしいとお願いした。


アドレナリンのおかげか、痛さはあまり感じなかったが町の人達に見られるのが恥ずかしかった…両手で頭に刺さったルアーを覆い隠して病院まで行き、病院もすぐに診てくれるわけではないので、待合室で自分の順番が来るまで周りの患者さんからの目が恥ずかしくてたまらなかった…




やっと自分の順番になり診察室に足早に入っていった。さすがは海に面した病院である、お医者さんは特別驚く様子もなくルアーが刺さった頭を見て少し笑った。夏になったらロケット花火で脅かしてやると心の中で思った。


通常釣り針の返しまで刺さってしまった場合、刺さった方向に抜くのではなく曲がっている針を利用して皮膚を貫通させて針を出して折るのがセオリーだが…ペンチで無理矢理引き抜こうとした為に針が曲がってしまい、貫いて針を出す事が出来なかったのである。


それがわかったお医者さんは小さなルアーの針だったので、ペンチで針を引き抜こうと判断したのである。







いや…ペンチじゃ抜けないから…友達に力一杯引き抜いてもらおうとしたけどビクともしなかったから…そう説明するも大人の力を舐めるんじゃないと言わんばかりに渾身の力で引き抜こうとするお医者さん。


痛い…その時やっと痛みがじんじんと伝わってきた。







うーん抜けないなぁという感じのお医者さん。だから言うてますやん…無理だって…







そこに連絡をうけた父が診察室に駆け込んで来た。父の姿を見た私は安堵するのではなく、ただひたすら恐怖でしかなかった。小さな町の人達は何より世間体を気にする。息子の頭にルアーが刺さって病院にいったと周りに知られたら…父親は激怒するだろうと私は思った。


だが父は少し息を切らしながらも、自分の心配を真っ先にしてくれた。そしてルアーが刺さった頭を見るなり針自体は小さかったので安心したのか、「何をやってるんだ」と自分を一喝した。


すぐさま父は耳を疑う言葉を口にした。
















「先生、ペンチかして」















いやっ、だから!!!抜けないから!!!ペンチじゃ無理だから!!!もう試したからそれは!!!!!


怯えた自分は父にそう言う事が出来なかった。しかしお医者さんが「いや、それはもう試したよ、麻酔は打ったからメスで…」と言い始めたのだ。ナイス!お医者さんナイス!もっと言ってあげて!と思ったのもつかの間、メスで切って針を取り出すと言い終える前に父は近くにあったペンチを発見し、お医者さんそっちのけで我が子を助けようとするのであった。


グイ!グイ!と勢いよく抜こうとする。父は見た目もかなりイカツイ。そんな父が力一杯針を抜こうとする。麻酔がきいているので痛みこそないがその時の恐怖は尋常ではなかった。父にかかれば2cmほどの針など…






















結果抜けなかった。



だから…言うたやん…
という空気に包まれる診察室。結局最後はメスをいれ二針程縫った。








その事件があってから、釣り人なら普通に知っている《後ろを確認してから投げること。》というマナーの大切さを知ったのであった。




















私が二針縫おうが三針縫おうがどうでもいいんですがブログを見てくれた皆様にはそんな幼少期を過ごした私が在籍するバンド「Laxity」の大事なリリースパーティーに来て頂きたいです。


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プレイガイド予約をして頂くと…




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どちらでも同じです。
新しいCDには色んな曲が入ってます。そして父への想い(恐怖)、地元のお医者さんへの恨み(お門違い)もこもっているはずです。是非ともそんなスペシャルなCDであるLaxity 2nd MINI ALBUM「SOZO CINEMAS」をGETして沢山聴いてください。




それでは会場でお待ちしております!サラダ!!