赤ちゃんとラブちゃんが天国に逝って一年が過ぎた。
ハッピーのお腹に、再び赤ちゃんができた。
僕頑張ったでしょ。パパもママも大喜び。
前回と同じように、ハッピーは、ママのオーバーオールの胸のところに、ハずぅっと入ってる。ミルクもいっぱい飲んで、どんどんお腹が大きくなってる
ママは、出産が近づいたある日、僕たちがいつもお世話になっている、獣医さんのところに行って、出産時の処置方法を習っていた。
出産当日、今回は、八月十五日のお盆の日。
パパは、おばあちゃんの初盆で、田舎に帰っていた。ママは、ハッピーの出産があるから、お留守番だった。
朝からハッピーは落着きが無い。うろうろうろうろ・・・・。
そしてとうとうその時がきた。
ハッピーが破水した。一生懸命にいきんでる。目にいっぱい涙をためて、
赤ちゃんを産もうとしている。僕は、自分のお家から見守ることしか出来なかった。頑張れ頑張れ・・・。
破水してから、どれくらいの時間が経っただろう。ハッピーは、一生懸命に頑張っているのに、なかなか生まれてこない。とうとうママは、獣医さんに電話をかけた。先生は、お盆休みなのに、病院で待機してくれていた。
それから十分ぐらいで駆けつけてくれた。ハッピーーは、破水してから、一時間位ずっと頑張っていたんだけど、さすがに疲れた様子だった。
先生が「このままでは、母子ともに助からない」と言って、手袋をしてハッピーの出産を手伝ってくれた。
そしたら、大きな赤ちゃんが生まれてきた。
「普通より少し大きな子だったから、なかなか出てこれなかったんだ」って先生が言った。そしてもう一匹の出産が始まった。二匹目は楽に出産できると思ってた。しかし、又難産だった。へその緒が首に巻きついていて逆子の状態だった。でも先生のお蔭で4時間くらいかかったけど無事に出産が終わった。
僕もママもくたくたに疲れたけど、ハッピーは、出産後すぐに赤ちゃんの体をなめて、毛を乾かして母乳を飲ませて寝かせてから、やっと赤ちゃんの横で添い寝をした。
すごいなぁ母親って、本当にすごいなぁと僕は思った。
二回目の出産だけど僕もハッピーも二キログラムしかない小さな体なんだ。あんな体力をどこに持っているのか。
ママは、今度こそと思っているだろうと思う。赤ちゃんを抱こうとせずに、ハッピーに栄養をつけさせようと一生懸命だった。
去年は、赤ちゃんがかわいくて、ママが抱っこをしてしまった。僕たち犬は、
人間の何十倍も臭いに敏感で、自分の子供に、人間の臭いが付いてしまうと、子供の面倒を見なくなるらしい。ママは、責任を感じているんだろう。
今は、ハッピーと僕しか抱こうとしない。
翌日パパが帰ってきた。ママと一緒に大喜びだ。ハッピーは、パパが大好きだから、抱っこしてもらって、いっぱいほめてもらって、うれしそうに、おしりをいっぱい振っている。
赤ちゃんに、ママが名前を付けてくれた。男の子には、前のこの分まで強く元気な子になってと願いを込めて、ロッキーくんだ。女の子にも、天国に逝った子の分も幸せになってもらいたいと言う願いを込めてラブちゃん。
一週間二週間と何事も無く過ぎ、無事に予防注射も終わり離乳食が始まった。
息子のロッキーは、僕の子供の時にそっくり。コロコロしてて、目がくりくりのまん丸で、まるでタヌキみたいだ。
娘のラブは、ハッピーにそっくりで、細見でチビだけど、おてんばで、すぐにお兄ちゃんのロッキーに悪戯をしようとする。
とにかく僕もこれで一家の大黒柱だから、でんとかまえて、子供たちのしつけをして、ハッピーに負担をかけないように、面倒を見ていこうと思った。
しかし、子供たちは、どんどん成長し半年も経つと何故か僕が一番小さくなっていた。体の大きさに関係なく、子供たちはじゃれてくる。
土曜日になると、ママのお仕事がお休みで、僕たちをお風呂に入れてくれるんだ。四匹もいるから、四時間ぐらいかかる。僕はお風呂は大好き。
泡がいっぱいで、気持ちいい。だけど、ドライヤーで乾かして、ブラッシングされるのが嫌いだった。いつもその時だけは、バタバタ逃げ回ってママを困らせていた。最後の仕上げに必ず犬用の香水を付けられた。これは、いい香なんだけど、僕たち犬にはちょっとキツイ。
お風呂に入った日の夜は、いつもの倍ぐらいパパが遊んでくれる。
「きれいになったな。いい匂いやな」って言って、順番に抱っこしてくれる。
子供が出来ても、ハッピーは相変わらず、パパを独り占めにするんだけと・・・。



