留守電に入れてさっさと陣痛室へ行こうかと思ったものの、電話鳴らさないと気づかないだろうし・・・とひたすら電話。
やっと電話の向こうからのんきそうな「もしもし」が返ってきた。


事情を説明し、「さっさと来ないと産まれちゃうからね!!」と脅しをかけたところ、「俺が着くまで待ってて」と相変わらずのんきな一言。
待てるかーーーーーーーっ!!
こっちは一秒でも早く産みたいんじゃ!!
即答でお断りし、電話を切る。



よろよろと陣痛室へ移動し、いきみのがしタイム。
予習した本には痛くない体勢を探すと良いと書いてあったので、縦になったり横になったり斜めになったり色々試すも痛いものは痛い。
そして、母親学級などで練習し、前日も練習していたはずの呼吸法なんて頭から吹っ飛び、何をどうしてよいのやら・・・という状態。


助産師さんに呼吸法などを指導してもらうも、痛くてその通りになんてできない。
「うぅ~うまくできないよ~、いたいよ~、くろえる来ないよ~、うわーん。」
という気持ちだったが、そこは助産師さん慣れている。
「はい~、しろえるさん、上手ですよー。大丈夫~、もう少しがんばって~。
はい、鼻で大きく息を吸って~、吐いて~」と言いながらマッサージしてくれ、とことんやさしく頼りになる。


しかし、助産師さんはお忙しく、陣痛の波が治まると
「じゃぁなんかあったら呼んでくださいね~。また来ますね~。」と華麗に次のお仕事へ行ってしまう。
うぅ。行かないでー。
ずっとそこにいてー。あうあうあー。



陣痛の痛みというのは、ただ単に痛いのかと思っていたが、
実際は中から出てこようとする圧倒的な力が痛みとなって現れたもので、
私の場合、ヤマタノオロチが肛門を突き破って出てきそうなイメージ。
なので、肛門を押さえてもらうと楽なのだが、一人だとなかなかそれもできない。


くろえる何しとるんじゃ!?
この肝心なときにいないなんて!
この役立たずっ!!
うわーん。
末代まで祟ってやる~~~!


呪いも最高潮に達していた頃くろえるがやってきた。
「ごめん。渋滞にはまってて。」
ごめんじゃねーよっ!あんぽんたんっ!!



そこからは、旦那といきみ逃しをする方法を助産師さんに習って、いきみ逃し続行。
くろえるにもたれかかると汗臭い。
くせぇ。。。(むかっ)


くろえるの息がかかる。
くせぇ。。。(むかっ)


陣痛中は何が気に障るかわからないというが、私の場合は臭いに敏感になったようだ。
彼の名誉のために言うと、通常気になるほどの口臭の持ち主ではないし、その日も歯磨きをさぼったとかいうわけではない。



多少いらっとしながらもいきみ逃しをしていたところ、急に睡魔に襲われた。
ものすごく痛いのに、ものすごく眠くて、そのままじゃいられないくらい。

なんでー??どっかおかしいのかな・・・?
不安になりナースコール。

「あの・・・すっごく眠いんですけど・・・」
「それは赤ちゃんからの休憩のプレゼントですよ。寝て良いですよ。」


安心し横になる。
陣痛と陣痛の合間にすーっと眠りに落ちていく。
寝ながら、次の陣痛の予兆を感じる・・・
「うぅ。。もうちょっと寝たい・・・パス!パス!」
そんな願いも空しくドカーンと陣痛はやってくる。
そして、陣痛が通り過ぎるとまた寝る・・・という繰り返し。


しばらくしてそろそろ起きようかな・・・という気になり、起き上がったところで特大の陣痛。
暖かい液体が出てきた感じがしたので再びナースコール。
子宮口が全開になっており、いよいよ分娩室に移動することになった。


分娩の話は次回。