展覧会に行って来ました。




今回は前回の展覧会で答えたアンケート、それから無料招待を頂き、是非とも行かねばと思っていました。無事に行けて良かったてす。

千葉生まれ、東京で橋本雅邦に入門、「どこの展覧会でも光っていた」
「また馳駆して余りあるの才気才筆は、西の関雪、東の林響ありと叫ばしめざるを得ない」と称賛されながら、画壇から距離をおいて、林響を名のる頃には、郷里の大網に画房を築き移住、田園風俗画を中心に創作活動、40代で脳溢血で亡くなったのは惜しまれます。

歴史画それも美人画は素晴らしくて、段々大観に風貌も作風も似てきたが、実は浦上玉堂の名前を知らずして作品に惚れ込む、つまり、文人画も創作、とにかくすごい実力です。見て損はしません。
小鳥が好きで、描いた鳥はなんとも愛に満ちてる様でした。

構成

第一章 「天風」あらわるー橋本雅邦門下の俊才、画壇への登場
歴史画が並びます。「天風」と名乗っていた時代の作品ですが、一言、美人画はかなりいけてます。それだけ見てももう十分かもしれません。

・童女の姿となりて 東京都現代美術館
ポスターやパンフレットの作品
ヤマトタケルノミコトが女装した逸話より。

・瑞鶴 千葉県立美術館
柔らかい感じが素敵です。
・羅浮仙女 千葉県立美術館
中国美人の代表格、淡さが夢と現実の間の感覚を表してます。
・東方朔図 大網白里市図書室
狩野常信作品を参照したと。
・寒山拾得 横浜美術館
なんとも癖のある画風
伊豆の修善寺に滞在した時代の作品が出品されてます。その時の常宿が新井旅館。
・春風駘蕩 伊豆市
薔薇に小禽図 新井旅館
・歌仙 新井旅館
大和絵のテイスト120%

第二章 画壇での活躍ー南品川・「五松居」時代
ここでは、画壇への挑戦、必ずしも全てに入選ではないのですが、こうして見ると、どこか力が抜けていて、良いかもと思いますが。
浦上玉堂を見出だし、良寛に牽かれ、明治の文人画、画風も横山大観、写真によると顔も似てる気がしました。

・養老 佐野市立吉澤記念美術館
葉っぱが金泥使われてます。
・桃源 千葉県立美術館
文展に入賞、これだけなんですか。
・漁樵 千葉県立美術館
千葉の海が彷彿されます。
・巌礁之鵜図 個人蔵
鳥好きな人が鵜を描くとこうなるんですね。
・高士観瀑 千葉県立美術館
目線か滝を見ていないように見えました。
・竹花鳥 千葉県立美術館
アヒルが最高。
・葦と白鳥 千葉県立美術館
白鳥が可愛いのです。
・王者の瑞 千葉市立美術館
これがフォトに左曲の麒麟が。剥製を見て描いたそうな。
・梅花葦屋 千葉県立美術館 
文人画、やはりこれが十八番なのでしょうか。

ここでは画会も取り上げられてました。支援者集める為の動きで、郷土礼賛の気持ちが強くて、千葉県人や縁戚の方々が多かったとか。
もちろん、支援者には依頼されて描く、ここに単なる好きなもの描くのみならない画家の実態を意識させられました。需要があり絵は描くものだと。ここは重要かと改めて思いますした。

第三章 林響誕生ー新たなる画領へ
いよいよ林響と名乗った後の作品が出てきます。
・挿絵下絵、作品構成図ほか 千葉市立美術館
こまわりされてて漫画っぽいです。ここから近代以降の作家だなあと思えて来ました。
・やまびこ(小下図) 千葉市立美術館
ムンクの叫びみたいでした。
・兎月図 浜松市秋野不秬美術館
ウサギがジャンプ、白隱のようです。これは見たらハマると思います。
・竹にすずめ 大網白里市図書室
雀が何かを見てるんです、もうなんと言えば良いかというくらい萌えました。
・浦島太郎図 千葉県立美術館
浦島太郎がおっさん、に見えました。亀はなかなかよろしいですけれどね。
・春 千葉市立美術館
青と緑が鮮やかでした。
・水汲 川越市立美術館
朝鮮への憧れが感じられる作品。
・高士人物山水図(林和靖図か) 
個人蔵
・瓢 
個人蔵
江戸琳派ですね。
・鍾馗
千葉市立美術館
長男誕生の喜びを表した作品です。虎が似てる作品と並んでました。
・藍采和 
個人蔵
片足裸足に注目。
・兎図
個人蔵
才筆と言われてる、まあ、なんとも上手い構図です。
この後、コレクションになった作品が
浦上玉堂が大好きだと言うことが分かりました。でも、浦上玉堂が描いた作品だと知らずに購入したんだとか。
他に、山口蓬春、小川芋銭、久住守景、小林一茶など。
・唐獅子 
千葉市立美術館
簡画と言われてる、白隱の絵のようでした。
・寒林間虜
大網白里市図書室
子どもと犬

ここには、山種美術館蔵の、外房三部作、総南の窓から 仁右衛門島・隊道口・砂丘の夕、これは見たかったです。これが代表作と言われてるようです。(山種美術館で見てみたい)

第四章 「野に帰る心地」ー白閑亭 「大網宮谷」へ
ここで、大正15年、郷里に近い千葉の大網宮谷に画房「白閑亭」を築いて、移住します。
自然回帰というか、本来描きたかったと思えてくる作品があり、静かに心揺さぶられるようでした。
・雷雨
個人蔵
雷神ですかね。
・石橋
個人蔵
霊獣獅子が描かれてます。
・仙山楼閣
夕日が素敵でした。
・野趣二題 枝間の歌・池中の舞
東京国立近代美術館
鯰、メダカ、ゲンゴロウ、サンショウウオなど、これはユニークで良いですね。

終章 林響逝く
ところが、脳溢血で倒れ、復活したものの、2度目に倒れ、帰らぬ人に。
享年45才、早すぎます。
・閑庭
個人蔵
二曲一双の屏風は病に倒れ復帰後とは思えなかったです。
奥様の葬儀の挨拶状がほろりとするような内容でした。
千葉の画家さんで、ちょっと、親しめないかなと思ってたんですがそんなことはありませんでした。画壇から距離置くと、その後広く知られなくなる宿命は残念ですが、こうして回顧展開かれ、知り、作品みられるのは良いものかなと思いました。

フォトスポット

2018年11月23日(金・祝)~ 2019年1月14日(月・祝) 
千葉市美術館