展覧会に行って来ました。


びっくりです。パンフレットのイメージからコラージュ作品かと思ってたら、鉛筆と色鉛筆で写真を複写、そして自画像、新聞の複写、植物描き、やはり自画像を新聞紙に描いた、技法も構成も超ユニーク。でも上手いです。
ちなみに油彩も水彩画もありません、色鉛筆、鉛筆がほとんどです。
世間に広く知られたのが2007年森美術館「六本木クロッシング2007:未来への脈動」展だったそうな。あいにく2013年に突然亡くなってしまわれたそうな、残念です。

構成
ありふれた風景
ドローイング 金網
金網を全長17メートルの紙に、描いていますが、金網をプレスして、型を撮り、鉛筆で描いたというもの。主観性排除しているのが特徴です。

河原 No.7 No.9
十段階の階調を組み合わせた、モノクロ写真のようです。
基本的に写真を升目に分割して、それを階調、だんだん懇切丁寧に写しとり仕上げて行く感じです。そこに細かく数字や線をを書いてない明暗を出します。

場内にある配布物でそれがよく分かります。


ジーンズ 

拡大すると
同(部分)

実は、これの元は、こんなふうに数字を書き、それだけの線を升目に描いたのが上のようになるとは。


ジーンズをモノクロ撮影→写真引き伸ばし→鉛筆で升目描く→濃度を10段階に分けて0から9迄の数字を升目に書く→写真と同じサイズの方眼紙に数字を写す→方眼紙と同じサイズの透明フイルムを重ねるて、左端から数字に対応する斜線をインクで引く。
なんとまあ、気が遠くなることやら。

確かにこうなるかしらと思いますけれと.なかなかこんな描きかたできませんね。

これもそんな風に描いたもの。


友達シリーズ Ⅰ 65点より
友人のスナップ写真を模写、その人らしさ、魂を写し出しています。

365日の自画像 1981.7.24-1982.7.23Ⅰ 全365点より
基本的に1日一点なのですが、時間がかかり、なんと9年かけて描いたそうな。
髪の毛が伸びて行くのが追えたりとか(笑)

ドローイング 新聞 ジャパンタイムズⅠ 10点より
これが後の新聞への自画像描くのにつながるんですが、まずは印刷したての新聞をプレスで圧着させ、その上を手書きで模写することをされています。

ここでの技法はそれ自体斬新ですが、後につながる、吉村さんの技となります。
これは他にやった人がいるのかしら?

百花繚乱
花を色鉛筆で描いていますが、元々花は生活するために描いたようです。
また、わざと表面を擦りダメージ与え、古い感じを出してます。これは古い絵画に憧れたものか?

モツコウバラ
かすれボケがとても良い味を出してます。

コスモス
ジャングルみたいです。これは休耕田に植えられたものですが、こんなに生い茂るんですね。

ケシ
永遠性を表す、繰り返し。形が面白いです。



フジ
写真を重ねて架空の光景を作り、横にずらーっと並べます。



未知なる世界からの視点
吉村さんの最大級の作品。
故郷の山口で制作していたのですが、これは仁保川という実在の川。
川辺に咲く花とススキを上下に描き分けています。それは創作です。



コスモス(絶筆)
升目を分けて描いてますが、絶筆で未完成です。

自画像の森
自画像描いた数は一番多いのではと言われてるようです。バリ留学で描いたのは自画像のみ、その数1000点。

ここでは、その前にインドで描いた自画像
、インドの体験を織り込んでます。
後は、新聞紙に描いた自画像、紙面の記事と連動してるようです。悲しいニュースでは物憂げ、明るいニュースに微笑み、怒り、驚き、喜怒哀楽が見られ、また横顔、反対向き、表情が描かれてなかったり、手を描いたり、インフルエンザの記事ではマスクしてたり、野球好きなのも分かります(勝ち負けに表情が変わるので)、もう、無いのは後頭部側のみかしら。
この表情は息子に言われて豊かに描くようになったようです。
そして、東日本大震災の3.11の直後は描くのを躊躇したそうです。が、それはイカンと、6つのパターンをシルクスクリーンで印刷しました。
また、バリ時代の新聞に描いたものもあり、バリでしか描けない自画像があると。



もう、ひたすらスゴいです。
でも面白いです。全く飽きませんでした。

2018年11月23日(金・祝)-2019年1月20日(日)
東京ステーションギャラリー