展覧会に行って来ました。


毎度のルオー、いえいえこれはうまく構成してあり、改めてルオーの魅力を引き出してました。必見だと思えました。
版画から油彩へ、なんか解放感は見てる方にも感じられました。

愛のすべて。
聖なる芸術とモデルニテ
モデルニテとは、現代性。

第1章
ミセレーレ
-甦ったイコン
『ミセレーレ』は憐みたまえという意味。
慈悲と心か。貧困や苦痛は描かずに、神の神秘と向き合う事に挑戦した、それを頭において見てみると、成る程と思えてきました。
父の死と第1次世界大戦の悲惨に直面したルオーが主題を深化させた版画集、41歳から15年間で完成。
故郷のペルヴイル=美しい街、実際には貧民や娼婦がたむろする街、それを場末として描きました。
愛する事は創造することと同じ
ピエタに重ねた作品
そんな事が表現されていました。
ここで気になる作品は、何故か「ミゼーレ」で未採用になった主題が多くて、これは何でだろうと思えてきました。
また、「青い鳥は目を潰せばもっとよく歌うだろう」(通称「青い鳥」)
このタイトル素敵ですね。目をつむっている事なのでしょうが、敬虔なクリスチャンらしいと思えてきました。

磔刑、ギャルリーためなが協力の作品が超大作なのでは。

第2章
聖顔と聖なる人物
-物言わぬサバルタン
これはルオーの十八番、正方形は聖顔布?で確かに作品はどれも似てます。様式化、浮いた首の感じは時空を越えるイメージ。
変化は、最初は目を開いていたが、目を閉じるようになる、中には棘に流血が見られるものも。
ここで、日本人が絡みが取り上げられてました。画家でもある宮田医師がアシスタントをしていたんだと。この辺りしっかり押さえてなかったのが悔いが残ります。
そして、鼻が一本の線のようになり、アーモンド形の目、はい、つむってます。




更にルオー、色彩を活かして主題の意味を強めてる事も受け取れます。

第1章の慈悲で見方が定まったせいか、ここでもその感覚がよく把握出来た気がします。
これまでタイトルの意味が分かりにくい印象だったルオー作品が身近に感じられてきたのは非常に良かったかも。

ここで今回こメインビジュアル
「ヴェロニカ」
ポンビドゥセンター/バリ近代美術館
今回はこことバチカン美術館から初来日作品も多い目でした。
これはゴルゴダの丘へ向かうイエスの汗をぬぐった女性
先のミセーレの精神そのものなのでは。
ルオー作品としては可愛いと思えてもきました。



第3章
パッション[受難]
-受肉するマチエール
受肉、これは厚塗り、以前の削り取りから変更した技法、二次元を三次元にすることだったのですね、納得です。
「三本十字架」これはこれまで意識した事がなかったのですが、とても素晴らしく思えました。

また、ここで版画の物語に縛られていたのから解放された様に自由に描かれてます。
「キリストの頭部」この作品、一番手元にいきたいルオー作品になりました。

特別セクション
聖なる空間の装飾
第二次大戦後の聖なる芸術(ラール・サクレ)ということで、聖なる空間の装飾として、作品を紹介

「飾りの花」 

同上



「キリスト十字架像」
清春白樺美術館
ルオーが着色。日本にあるのですね。フランスから贈られたみたいです。


第4章
聖書の風景
-未完のユートピア
ここが通常のルオー展の雰囲気でした。
ここから説明も確かに良いのですが、どうしても作風と色彩に目が行ってしまいます。
なのでさっと流してしまいました。

これら二点が印象的でした。
「古びた町外れにて または 台所」
パナソニック 汐留ミュージアム
「ステラ・ウェスぺルティーナ(夕の星)」
個人蔵

未完のユートピア、完成されたものはどこに?



2018年9月29日(土) ― 12月9日(日)
#パナソニック汐留ミュージアム
#ジョルジュルオー
#聖なる芸術とモデルニテ