展覧会に行って来ました。


これは衝撃です、相撲力士とバレリーナ
同じポーズ取ってるとは言えますがねぇ
これがこの展覧会の印象を大きく捉えた一言だったりする。


モネ、ドガ、セザンヌ・・・
みんなHOKUSAIに学んだ
パンフレットより

構図の妙、画題の幅、欧米魅了
読売新聞の号外より

と、まとめて言うとそのものなのですが、ともかく点数が多くて、ここに追いかけてゆくより、流し見する感じになります。
さらに場内混んでおり、なおさら細かく追うことが出来ませんでした。

目録も章ごとになっておらず、
西洋作品230点
え、そんなにあったのか、全てが油彩画ではなくて、資料から、素描、陶器、ガラス工芸も多数、はたまた最近他で見たロートレックのポスターなどリトグラフなど。もうこれだけで、立派なジャポニズム展となるにも十分過ぎる位に。思えば、普段の展覧会はこれらだけで成り立ってて。

錦絵・摺物41点
ほぼ北斎、二点、伝葛飾北斎、もう一点は魚屋北溪(知らないなぁ)

版本38点
主に「北斎漫画」、この手の品の種類の多さも驚き

と相当な分量、種類になってます。
更に、その拡大写真パネルが添えてあり、入場者吸う並みに混雑(笑)しとります。

展示の構成は以下の様です。
1章 北斎の浸透

2章 北斎と人物

3章 北斎と動物

4章 北斎と植物

5章 北斎と風景

6章 波と富士

特に5章、6章に西洋画が多い気がしました。日本人が好きな風景画が西洋画に多く、日本にも多く作品があるせいかと思いました。出品さ、国立西洋美術館のコレクションが半数を占め、三菱一号館、ブリヂストンなどから。もちろん、オルセーなど海外からの出品もあります。

元々、北斎も西洋画の風景画を見て、そして彼らの遠近法を学び、日本らしさを取り入れて作品を作っていた、どちらが先なのか、もしかして同時、絵画は世界共通のものがあるのかもと、考えてみました。

作品的にどれが良いかな~と思いながら見ていたが、
やはり
エドガー・ドガ ピンクと緑、踊り子たち 
吉野石膏株式会社(山形美術館寄託)
→ドガを刺激した、ポーズ
ピンクが映えてます。
展示の方法も一番よかったし。

意外さでは
ポール・ゴーガン 三匹の仔犬がいる静物
ニューヨーク近代美術館
→ゴーガンが描いた、シンプルさ
犬好きの目に止まりました。
最近、ゴーギャンでなく、ゴーガンと呼ばれるようになったのですね。


そして、個人な萌え度一番は、
ジャン=ルイ・フォラン 釣り人 サザンプトン美術館
→フォランが理解した、和の心(勝手に創作コビー)
これは、もう個人的に犬の姿勢があまりにおりこうさん、で、釣り人と同じ方向見てるのが堪らないと言うことです。


クロード・モネ 陽を浴びるポプラ並木 国立西洋美術館(松方コレクション)
→モネが学んだリズム
常設展示作品がこちらに展示、それに出くわすと、ああ西洋美術館にいるのだな、と改めて自覚する瞬間です。

フィセント・ファン・ゴッホ ばら 国立西洋美術館 
→ゴッホを魅了した、自然
後半の画業は自然を描くことに注力した作品。

メアリー・カサット 青い肘掛け椅子に座る少女 ワシントン・ナショナル・ギャラリー
→カサットが愛した気ままさ
これは、以前のワシントンナショナル・ギャラリー展にも出品されましたね。
犬にも、女の子にも眼が行く。
犬の拗ねようから、同じく女の子も退屈なのかも。だいたいキリッとした姿が描かれて来ましたが、これは違いますね~

これまで主な西洋作品をあげました。

以下は、北斎と西洋画の大家の作品比較

北斎 冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏 ミネアボリス美術館
カミーユ・クローデル 波 ロダン美術館
この形は凄い、サーファーが興奮しそうな波。
この造形、場内でも目立ってました。
有名なドビュッシーの楽譜絵も出てましたね。

北斎 冨嶽百景 二編 竹林の不二 浦上蒼穹堂
クロード・モネ 木の間越しの春 マルモッタン・モネ美術館
木を前面に持ってきて、その後ろに遠景を見せる構図は北斎の発想による。

ポール・セザンヌ サント=ヴィクトワール山 フィリップスコレクション
北斎 冨嶽三十六景 駿州片倉茶園ノ不二 オーストリア応用美術館
連作は北斎から学んだようです。サント=ヴィクトワール山はいくつ連作があるのだろうか。

ジョルジ・スーラ 尖ったオック岬、グランカン テート
北斎 おしをくりはとうつうせんのづ 名古屋市立美術館(展示期間終了)
すばり形ですね、なかなかフランスでここまでの波は見られないかも。

クロード・モネ ノルウェーのコルサース山 マルモッタン・モネ美術館
北斎 冨嶽三十六景 凱風快晴 オーストリア応用美術館

他には

ギュスターヴ・モロー ヘラクレスとレルネのヒュドラ
岩石の描き方が浮世絵から。

アルベルト エーデルフェルト 夕暮れのカウコラの屋根
これ落ち着いた雰囲気が良い。

ジョルジュ・ラコンブ 青い 海、波の印象
変な目玉みたいな波が気持ち悪い

アイリフ・ペーテシェンの 夏の夜
これ、エイリフと読むみたいですね。人気がありそう。

ヴェイニョ・プロムステッド 山とトナカイ
これネットで調べても出てこない、非常にマイナー?こんな作品も並びます。

他には、ガラス工芸や陶器もあり、ガラスはヤマザキマザック美術館からも出品されてますね。
エミール・ガレ 双耳鉢:鯉 個人蔵

北斎 北斎漫画十三編 浦上蒼穹会

ここには挙げませんが、春画のコーナーがあったり、そこにあったのはロダン作品でした。

さて、この展覧会見て思った事を。
西洋画のみで構成され、「ジャポニズム展、HOKUSAIとともに」などと、タイトルが付いても成り立つかなあと思いました。
国立西洋美術館の常設で見られる作品から、北欧の美術館からやって来た作品まで、実に幅広いんだと、気になった作品調べてて思いました。これぞ、この機会を逃すなと。

国立西洋美術館
~1月28日