鋼構造ジャーナルに掲載されました。
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お客様の『一世一代の夢』
田村正光最近、同業のファブの経営者が工場を新築した。この不況の折だから、その決断は非常に
勇気のいるものだったと思う。その後、新築の工場の見学会とお祝い会を仲間内で行った。
その時、その経営者は冗談交じりに「あ~ぁ、やっちゃった・・・。」との言葉。でも不安
そうなのはその一瞬だけで、あとはうれしそうに工場の色や配置についてそのこだわりを説
明してくれた。
工場を建てるのに何億円もかかる。たくさん借金をしたことだろう。ただでさえ先の見えな
い昨今、その不安は筆舌に尽くしがたいものだったと思う。反面、工場が大きくなって、さ
らにお客様を増やそうとか、社員を増やそうとか、不安以上に期待・夢が大きく広がってい
るはずだ。
私たちファブは日々、工場や店舗、倉庫、住宅、ビルなどの鉄骨の製作に携わっている。
私たちの仕事の先には必ず、今の経営者のような『思い』をもった人たちがいるはずだ。特
別な人でない限り、普通の人が建物を建てるということは一生に1回か2回であろう。その
瞬間は建物を建てるお客様にとって本当に特別な時だと思う。
それはお客様にとっては、まさしく『一世一代の夢』への挑戦といえよう。
だからそんな
お客様の特別な思い、そしてその瞬間に貢献できる鉄骨って本当に『誇りある、素敵な仕事』
なのだと、体いっぱいに感じている。
(田村製作所社長)