中華革命に騙された民族主義者、共産革命に騙された進歩的文化人
そのような経験を乗り越えて中国人と渡り合えるようになったのが、戦前の「支那通」と呼ばれる人たちだ。ところがこれらの人たちが、いかに中国人の欺瞞性を説いても、本国の日本人は信用することができなかった。そして、「支那通」の警告をよそに、日中戦争という時代に突入しても、「日本が誠意を示せば支那は必ず覚醒する」と、心の中では中国人に期待していた。これは前線にいた将兵にも言えることであった。
中国は戦後の今日に至っても、アジアの平和勢力として一度も覚醒したことはないのだが、いまだに日本人は自分が騙されていることに気がついていないのは、「人を信じる」ことを美徳する民族であるからだろう。しかし、いくら人を信用しても、そこに叡智や見識がなければ、単なる愚かなお人好し民族として、いずれ何らかの歴史の審判が下るかもしれない。
戦後とて同じである。非常に真面目だった知識人たちが、共産革命者に騙されつづけ、今も騙されている。今の進歩的文化人は、19世紀末の志士と同じように、騙されても、また騙されるのである。
こうして、日本人は過去一世紀半にわたって騙されつづけてきたわけであるが、本当に悲しいことだ。仮に、中国人が信じるに値する善良な民族だと仮定してみよう。国際信義を重んじ、条約を遵守し、善隣精神に富み、世界の対局を見定めて理知的、合理的に行動できる国だと考えてみるのである。もしそうなら、100年以上も前から、日中は真の友邦、兄弟国として仲睦まじい関係になっていたのではなかろうか。