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三橋貴明 引用
【増税のウソ】“デフレ下の増税”財政悪化を招く
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120131/plt1201310810001-n1.htm
前回連載「増税亡国論」でも解説したが、政府の租税収入と名目GDPは相関関係にある。名目GDPが成長すれば、政府の税収は増え、マイナス成長になれば、税収は減ってしまうのだ。無論、税収弾性値があるため、全く同じ動きをするわけではない。
とはいえ、政府を「増収」にしたいのであれば、名目GDPを成長させなければならないのは、否定できない事実である。何しろ、政府の租税収入の原資は名目GDP以外にないのだ。
インフレ期にはともかく、デフレ期の政府が増税や公共事業削減などの緊縮財政を実施すると、名目GDPがマイナス成長になってしまう。政府の租税収入は減り、財政は増税前より悪化する。「財政健全化」を目指して増税や政府支出削減をしたのに、財政はかえって悪化してしまうのだ。
財政が悪化すると、政府はさらに緊縮財政を求められ、名目GDPがマイナス成長になり、また財政が悪化する。日本はこのバカバカしい悪循環を1997年以降、延々と続けて来たわけだが、昨今は欧州の一部の国も同じ罠にはまっている。
2007年に不動産バブルが崩壊を始めたアイルランドでは、政府が銀行救済のために巨額の資金注入を強いられた。このため、同国の財政は08年以降、一気に悪化したが、日本のように国内に過剰貯蓄があふれているわけではない。
ムーディーズなどの格付け会社に国債を格下げされ、長期金利が上がり始めたアイルランドは、政府が財政健全化の姿勢を示すことで、外国での資金調達コストを下げようとした。具体的には増税と公共事業の削減、すなわち緊縮財政だ。
緊縮財政開始以降、アイルランドの名目GDPはマイナス成長を繰り返し、政府の収入は増税をしたのに、伸びなくなった。しかも、バブル崩壊後の不良債権に苦しむ銀行を救済するために、政府は巨額の資金を注入せざるを得なかった。
結果、10年のアイルランド政府の財政赤字は、対GDP比で30%超というすさまじい状況に至ったのである。
要するに、アイルランドも日本と同様に「バブル崩壊→財政悪化→緊縮財政→GDPマイナス成長→税収減→財政悪化」の悪循環にはまり込んでしまったわけだ。
ちなみに、アイルランドは09年、10年と2年連続でインフレ率がマイナスになっている。国内経済がデフレ化しているのだ。日本に限らず、デフレに陥った国の政府が、増税で財政を健全化することはできない。
アイルランドなどが悪循環にはまり込んだことを受け、ついに緊縮財政至上主義のIMF(国際通貨機関)までもが方針転換を始めた。明日は「IMFの方針転換」を取り上げる。』
ちなみに、紙面版にはきちんとグラフが載っておりますので、是非、お買い求めください(全五回です)。
さて、デフレの問題が何かと言えば、「雇用」です。雇用が失われることがなければ、まあ、デフレで企業競争が激化し、品質のいいサービスを国民が安く買えるという事で、あまり悪い影響はないかも知れません。
とはいえ、現実には実質金利が高まり、かつ収益を上げにくくなるため、企業が投資や雇用を増やさず、むしろリストラクチャリングに励むことになります。それまで職を得ていた人が失業すると、何がまずいかと言えば、彼らが消費するための所得を失ってしまうことになります。
「いや、人間は働くことで尊厳を得る。雇用は健全な人間性を維持するためにも、重要だ」
という意見はあるでしょうし、それはその通りだと思いますが、よりリアルな話をすると、問題は「所得の喪失」になります。所得を得られなければ、人間は衣食住にすら困ってしまうわけです。
「デフレ深刻化で雇用と所得が失われるでしょうが! あなた、それでいいんですか!」
と主張すると、あまり逆らえる人はいません。
「うん。別に他人事だから、失業者が増えてもいいよ」
などとテレビ画面で放言できる人は、まずいないでしょう(したらしたで、抗議殺到です)。
『2012年1月27日 日本経済新聞「TPP交渉参加、4カ国が了承 米との協議焦点 政府、民主党内の意見集約も課題に」
環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加について、日本が25日までにブルネイ、ベトナム、ペルー、チリの4カ国から了承を取り付けたことがわかった。日本は最大のハードルである米国との事前協議を前に、交渉参加に向けて順調に手続きを進めている。交渉参加の決断に向けて、政府・民主党内の意見集約も今後の課題となる。 (後略)』
TPPに関しては、現在、すでに各国との事前協議が始まっています。
色々と言論活動をしてきて分かったのですが、増税にせよTPPにせよ、
「デフレ深刻化で雇用と所得が失われるでしょうが! あなた、それでいいんですか!」
という路線に持っていくことが、反対論を展開する際に最も反論を受けにくいわけでです。TPPは供給能力を(不要な形で)高め、増税は需要を抑制し、いずれもデフレギャップ拡大の働きをします。すなわち、デフレを深刻化させます。
アホだな~、と思うのは、TPP推進論者で、
「アメリカから安いコメが入ってきて、オーストラリアから安い牛肉が入ってきて、牛丼が100円台に下がりますよ!だから、TPP」
などとやっている人がいることです。デフレという物価下落に悩んでいる国で、「物価が下がりますよ!だからTPP」などとやってくるわけですから、要するに経済のことを全く理解していないわけです。
無論、「奥さん、物価が下がりますよ!」とテレビのキャスターが言うと、それなりの説得力を持ってしまいますので、そういう人に対しては真正面から、
「今の日本はデフレでしょ。デフレの国が、物価を下げる政策をして、どうするんですか。デフレ深刻化ですよ。回りまわって、あなたの出演料も下がりますよ。というか、下がっていません?」
とやるべきだと思うわけです。
無論、TPPは自由貿易協定としてもあまりにも質が悪い(と言うか、ラディカル)なので、いずれにせよ反対ですが、各項目別の問題は他の方々に任せ、わたくしはとにかく、
「デフレでしょ? デフレでしょ? 物価が下落してるんでしょ? デフレの国で、物価を押し下げたら、デフレが深刻化するでしょ? デフレが深刻化したら、失業して所得を失う人が増えるでしょ? つまり、デフレを促進して、日本国民は失業者になり、所得を得るすべを失って飢えろといいたいんですか、あなたは?」
とやっていくつもりです(あまり、TPP関連は、マクロ経済的な視点から話す人がいませんので)
「デフレを促進したら、実質金利がさらに上がって、円の為替レートも上昇するでしょ? 輸出企業もこれまで以上に苦しむでしょ? つまり、デフレを促進して、輸出企業を苦境に陥らせるために、TPP推進なの?」
なんてのもいいかも知れません。
以前、財政問題に関して、上記の夕刊フジの連載のままに「デフレでしょ」と言い続けたら、光栄にも元財務官僚の方に、
「デフレ、デフレ、うるせえよっ!」
と言われたことがありましたが。。。。。