定額減税事務は大変になりそう・・・それに複雑怪奇 | 日々、嬉努愛絡 多幸なり

定額減税事務は大変になりそう・・・それに複雑怪奇

1/30に国税庁から
「給与の支払者のための令和6年分所得税の定額減税のしかた」が広報された。

 

 

 

 

読んだところ、これは事務が大変になる。

 

 

給与所得者は所得税は源泉徴収されているわけであり、源泉徴収所得税額を年末調整ではなく年途中の月給や賞与で変えなければならない。

 

何より大変なのが、

所得税の配偶者控除対象になる配偶者・扶養控除対象になる扶養者と定額減税の対象になる配偶者・扶養者が異なり、その判定も行わなければならない。

 

 

 

今まで聞いたことがない「同一生計配偶者」なる言葉が登場した。

まずこれを理解しなければ、定額減税対象者が分からない。

「同一生計配偶者」とは、生計を一にする配偶者(青色事業等従事者を除く)のうち、合計所得金額が48万円以下の人。給与所得者の場合には、給与収入が103万円以下の人ですね。

 

問題は、配偶者控除の対象になる配偶者とは異なること。

合計所得金額が900万円超(給与収入1,095万円超)の納税者に配偶者がいる場合、配偶者の所得に関わらず配偶者控除はない。

しかし、今回の定額減税では、合計所得金額が45万円以下の配偶者は、定額減税対象者になる。

 

そのため、合計所得金額が900万円を超えそうな人は、扶養控除等申告書では配偶者の名前を書かないから、別途「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」を会社に提出しなければ、配偶者分の定額減税が受けられなくなる。(上図の青斜線部分)

 

一方で、上図の黄色斜線部分の配偶者は、配偶者本人から定額減税を行うことになるので、納税者の源泉徴収の計算上は含めるが、定額減税の対象外にしなければならない。

・・・これは間違えやすい。

 

 

 

個人住民税の定額減税に係るQ&Aも総務庁から広報されている。

 

個人住民税の定額減税(案)に係るQ&A集(第1版)PDF

https://www.soumu.go.jp/main_content/000926356.pdf

 

えっ!と思うものがある。

 

個人住民税の仕組みは、前年の所得で、今年の税額が決まる仕組み。

よって、定額減税は基本的には、令和5年分の課税所得計算で決まる。

 

 

定額減税の対象者の判定や減税額の算定にあたっては、令和6年度・令和7年度それぞれの年度ごとで、納税義務者やその配偶者等の前年の合計所得金額や国内居住の有無等により判断する。

 

令和6年度分の個人住民税にあっては、納税義務者、控除対象配偶者及び扶養親族1人につき1万円を乗じた金額を所得割額から控除する。 また、令和7年度分の個人住民税にあっては、控除対象配偶者以外の同一生計配偶者を有する者について、1万円を所得割額から控除する。

 

これはどういう意味になるのか。

・令和6年に子供が生まれた場合、その子供に係る所得税の定額減税はあるが、住民税の定額減税はない。

・前年の合計所得金額が48万円以下であり、今年の合計所得金額が48万円超であった配偶者がいる場合、その配偶者に係る所得税の定額減税はないが、住民税の定額減税はある。

 

所得税では定額減税対象であったが、住民税では定額減税対象外になったり、また、その逆もありうる。

 

 

 

ところで、住宅所得控除で税額が生じない人は、定額減税の恩恵を受けられない人も出てくる。

引くものがなければ引けないから。

 

 

 

 

 

 

ところが、減税しきれない場合には、給付がある。

 

複雑怪奇でよくわからん。