今回、紹介する西国三十三ヶ所観音霊場は、京都府舞鶴市にある「松尾寺(まつのうじ)」です。西国三十三ヶ所観音霊場で唯一、「馬頭観世音菩薩像」が本尊であるお寺です。
西国三十三ヶ所観音霊場、第29番札所「青葉山 松尾寺」。創建は708年。開基は「威光(いこう)上人」。宗派は「真言宗醍醐派」。本尊は「馬頭観世音菩薩像」。
詠歌 「そのかみは 幾世経ぬらん 便りをば 千歳もここに まつのおのでら」
「松尾寺」の創建は寺伝によると、中国の唐の僧「威光上人」がこの地に訪れ、青葉山が中国の霊山である馬耳山に似ていることから入山し、山中の松の大樹の下で修行をしていたところ「馬頭観世音菩薩像」を感得し、この松の大樹の下に草庵を結び祀ったのが始まりとされています。
708年、「元明天皇」の勅願により、「藤原武智麻呂」が本尊を祀る「本堂」などの堂宇を建立し、お寺としての寺観が整えられたと言われています。
寺号は「威光上人」が松の大樹の下で、草庵を結んで祀ったことが由来とされています。
本尊の「馬頭観世音菩薩像」に関する、別の言い伝えが残っています。
10世紀末、若狭国神野浦(現在の福井県大飯郡高浜町)に「春日宗太夫」という漁師がいました。
ある日、漁に出ていた「春日宗太夫」は突然嵐に遭い、海へ投げ出されて漂流してしまいます。
漂流している「春日宗太夫」は浮いている流木を見つけて、流木につかまって浜辺へ辿り着いて助かったそうです。
すると「春日宗太夫」の命を救った流木は、突然白馬に変化して走り去ってしまいました。
「春日宗太夫」は白馬の後を追ってみると、「松尾寺」の「本堂」の前へ辿り着き、「本堂」の前に流木があるのを発見します。
「春日宗太夫」は流木が「馬頭観世音菩薩」の化身で、自分の命を救ってくれたと悟り、仏門に入って流木で「馬頭観世音菩薩像」を刻んだとも伝えられています。
1119年、「鳥羽天皇」、「美福門院」の行幸があり、寺領4000石を賜って寺坊数は65もあり大変栄えたようです。
その後、度重なる火災や戦国時代の戦乱によって焼失し、現在の寺観は江戸時代に規模を縮小して再建されたものです。
「松尾寺」は標高699mの青葉山の中腹にあり、「松尾寺」への交通アクセスですが、電車だとJR小浜線松尾寺駅下車して、徒歩で約1時間ぐらいかかります。
車だと国道27号線から「松尾寺」へ向かう府道564号線に曲がり、道なりに進むと「仁王門」の側に到着します。側に有料駐車場があります。
国道27号線から府道564号線に曲がった場所に石碑が建っています。
「仁王門」ですが、江戸中期に再建された建築物です。
「仁王門」には過去に「仁王像」が安置されていましたが、解体修理を行った際に、再び風化してしまわないように「仁王門」には安置せず、「宝物館」の方へ保管されたそうです。
「仁王門」を抜けると左手には「勅使門」、「本坊」があり、右手には「宝物館」があり、中央に「本堂」へ向かう石段があります。
石段を上がりきると真正面に「本堂」があります。
「本堂」は1730年に再建された建築物で、銅板葺の二重屋根の宝形造という、他の西国三十三ヶ所観音霊場の本堂と異なる少し変わった建築物です。
「本堂」には本尊として、秘仏の「馬頭観世音菩薩像」が祀られていて、普段はお前立ちの本尊を拝観することが出来ます。
「馬頭観世音菩薩像」は慈悲に満ち溢れた優しい顔の観音様とは違い、「不動明王」のような忿怒相(ふんぬそう)で非常に怖い顔をしています。
三目三面八臂で膝を立てていて、頭には宝冠ではなく馬の頭が乗っています。
お前立ちの本尊は口を閉じている吽形で、秘仏の本尊は口を開いている阿形になっているそうです。
「馬頭観世音菩薩」は古くから農耕畜産、交通安全の守り仏として信仰されていて、地元の農家の方は豊作祈願の為に、毎年参拝するのが決まりとなっているようです。
また馬繋がりでジョッキーなどの競馬関係者や、競馬ファンの人たちが必勝祈願として参拝されているそうですよ。
「松尾寺」の境内には「本堂」の他に「地蔵堂」、「大師堂」、「経蔵」、「鐘楼」などの堂宇が建っています。
「松尾寺」のその他の史蹟などを紹介しておきます。
「本堂」左手前には「馬の銅像」があります。
馬の銅像。本尊が馬に関わる馬頭観音だけに祀ってあるのでしょうね。
「鐘楼」の左手には1119年、「鳥羽天皇」がお手植されたと伝えられている大銀杏の木があります。
「経蔵」の左手には「地蔵菩薩像」が祀られています。
「大師堂」前には「弘法大師修行像」があります。
「大師堂」の後方には「青葉山妙理大権現社」があります。
詳細は分かりませんが、青葉山妙理大権現に関係あるんでしょうね。
最後に「仁王門」を抜けて右手に向かうと、「烏蒭渋摩明王殿(うすしまみょうおうでん)」という便所があります。
この便所には「烏枢瑟摩明王」が祀られていて、「烏枢瑟摩明王」は全ての汚濁を清める働きをもたれる仏様なので便所に祀っているようです。
烏枢瑟摩明王。案内と漢字が違うのがポイントです。トイレの仏様。



































