昨年5月の投稿でAFAB(エイファブ)、AMAB(エイマブ)という言い方について触れました。

 

そして最近ですが、AGAB(エイガブ)というのも目にするようになってきました。AGABはお察しのとおり assigned gender at birth、つまり生まれたときの身体の性別ということですね。何がAFABやAMABと違うの、ということですが、AGABは両方をひっくるめる時、あるいはどちらかわかっていない時に使われます。例えばあの人のAGABは?とか健康診断でAGABを質問された、とか。

 

事情を知っている親しい人との会話でAFAB、AMABを使うのは便利だと私は思っていたのですが、AGABを聞く質問が広まることには憂慮しています。出生時の身体の性別の情報が必須なのは医療機関、その中でも限られた分野のみ。眼科、歯科、皮膚科など直接関係のない分野も多いのですが、問題は医療分野以外にこれが広まること。

 

最近のトランスジェンダーへの攻撃は共和党が州議会多数派を占める州を中心にますますエスカレートしています。一般企業・組織がこれ(AGABを申告させること)を始めると露骨なアウティング、差別につながりますが、そんなの嘘をつけばいい?明らかに差別目的とわかる場合、埋没レベルのパス度の方はそうかもしれません。でも実際には巧妙な理由と脅し文句で嘘がバレたらまずい、と思わせるようになっているでしょうから多くの当事者にとっては嘘をつくのもかなりのストレスになると思います。トランスジェンダーの人は入店お断り、サービス提供できません、このレストランはシスジェンダー専用です、などというかつての黒人差別のような信じられない状況が出現するかも。

 

荒唐無稽だと思いますか?米国ではこの6月にLGBTQの人に「信仰上の理由」でサービスの提供、ビジネス取引を拒否することは合法であると連邦最高裁が判断をくだしています。僅差ではなく6対3で。連邦レベルで保証されていたはずの中絶の権利が覆された件と並んでトランプ時代に任命された3人の保守強硬派最高裁判事の影響の今のところ最悪のもののひとつです。

 

「信仰の自由」を盾にLGBTQを差別する権利を保証しろと要求するのはその信仰が差別を容認・奨励していると主張していることになりませんか?  結局これも以前投稿したようにLGBTQであることは選択肢として選んだ「行為」なのか、選択の余地のない「生まれつき」のものなのかという認識の差が根源のひとつだと思いますが。

 

私は法的な性別変更はまだなので、身分証明と繋がっている場合、医療保険と絡んでいる場合にはAGAB男性と回答しています。でももし将来法的に性別変更できて、私がこの「あなたのAGABは?」という質問に遭遇した時、そしてそれが医学的に必要であるとの説明がない場合の回答は――私のジェンダーは出生時から常に女性、私はこう生まれてきた、従って私のAGABは女性――ということになると思います。

 

日本ではまだトランスジェンダーのアウティング、差別を目的としてこのような質問をすることは少ないと思いますが、こんなことが広がる前にきちっと法整備をしてほしいですね。性的指向、出生時の身体の性別等を回答させることは医療目的で必要な場合以外には違法、というふうに。

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