浪花艶噺 ~Tales of TSUYA~ -29ページ目

浪花艶噺 ~Tales of TSUYA~

俊太郎さまの姿を借りた浪花女の妄想ブログです。
女性ホルモン絶賛捏造中!!!


この話は続きものです。

初めての方は よりどうぞ。









BLです。

苦手な方はお気を付けくださいませ。




















個展へ行く日時もすんなり決まって。

もしや電話のチャンスか?なんて思ったけど、掛けるまでもなかった。

日帰りするには少し厳しく、一泊する事にしたけれど。

俺は泊まるけど悠はどうする?とはさ・・・

さすがに聞けないよ。


・・・って。

聞けない俺に、俺は正直ぞっとした。

だってそれってさ、それって・・・

いや、この先は意地でも認めない。

認めないよ、絶対!



会う事が決まってからの悠との会話は何だかくすぐったくて。

その事実を仄めかしながらも隠す様な、秘密を共有する様な。

周りからは分からないけど、ふたりだけが分かる様な。

そんな会話が楽しくて。


そしてそれに反して。

悠と他の人との会話に。

ちくん 微かに痛む胸の奥。

ん?何だ、これ?

意味分かんねぇ。


ま、いっか。もうすぐ会えるんだし、なんて。

俺はその時きっと、悠と会えば全ての答えが出ると思ってたんだ。




そして待ちに待ったその日がやって来た。

朝が苦手な俺はいろんなプレッシャーで一睡も出来ず。

爛々としたまま朝を迎えた。


電車を乗り継ぎ、新幹線に乗り。

いざ、東京へ。

どうしても身構えてしまう辺り、田舎者は抗えない。


人の群れに紛れ、東京駅で下車する。

構内の案内を頼りに何とか待ち合わせ場所だと思われるところまで辿り着く。



(あぁ、まだ20分あるじゃん)


ふぅ 早めに出て良かったと吐息をつく。

軽く上がった息を整えながら。

目印何だっけ、とスマホを取り出し悠からのメールを読み返す。


突如、きゅうっと胸が痛む。

ヤバい・・・緊張してきた。

思えば俺は悠の歳すら知らない。

どんな人が来るんだろう・・・

そして悠は、俺をどう思ってるんだろう・・・


それにしても何だ、この人の多さは。

上手く出会えるかな。

ちょっと不安になってきた、その時だった。



見覚えのある帽子にメガネ。

写メと同じ、悠の目印・・・

向こうからはまだ俺が見えていないらしく、

きょろきょろ 辺りを見渡している。


すぅ 大きく息を吸い込み、一気に吐く。

逸る足をそのままに近づきながら名前を呼ぶ。


「悠!」


彷徨う視線が片手を上げた俺を捉え、

メガネの奥の瞳が柔らかく弧を描く。


「恵~!」



ガシッ!

いきなり力強く掻き抱かれ、動揺が隠せない。


「おっ・・・おおおっ、欧米かっ!」


「ブッ!古っ!」


背中を2,3度ポンポンと叩き。

悠が俺の正面に立つ。


「ごめん、やっと会えたなって嬉しくてさ」


ちょっと照れた様に笑う。

俺より少し背が高くて、丸い瞳が可愛い印象だ。

それから俺たちは少し改まった挨拶を交わして。


「開場まで少し時間あるからさ、先に昼飯にしない?」


近くのファミレスに入る事にした。



あんなに緊張してたのが嘘みたいに、

顔を合わせてしまえばいつも通りに会話できる。

それはとても心地のいい時間で。


もう何年も友達だったんじゃないかって雰囲気で。

時折訪れる沈黙も、別に気まずくもなく自然で。

あれやこれやと話しながら食事を済ませて。



個展が開催されているギャラリーへと向かった。


悠はゆっくり作品を見たいんだろうな。

そう思って入り口で彼に伝える。


「俺の事は気にせずに、自分のペースで見たらいいからな?」


「あぁ、サンキュ。そうさせてもらうわ」


そう言って嬉しそうに微笑んで、

小走りに作品へと近寄る悠が可愛かった。



可愛かった・・・んだ。

何でそう感じたんだろう。

ヤローに対して可愛いだなんて・・・



(さて、俺も見て回ろっと)


元々俺もこの人の作品は好きで。

きっと趣味が似ているから、俺は悠の絵に心を奪われたんだと思う。

それにしても・・・


ちらり 悠の様子を窺うと。

瞳をきらきら輝かせてかじりつく様に作品を見ている。

小さな少年が、大好きな電車に見入るような。

純真無垢な、素直な瞳で。

ダメだ、頬が緩む・・・


本当に誘って良かった。

嬉しそうな悠をみているだけで、俺も何だか幸せで。

心がほわり 温かくなるようだ。



それからの俺はと言えば、

作品を見ているのか悠を見ているのか。

よく分からない時間を過ごしながらも、満足感いっぱいで。


ぐるり と全ての作品を堪能し、振り返った彼と。

思いっきり目が合ってしまって。


「あぁ、ちょうど俺も全部見終わってさ?」


なんて言って誤魔化したんだけど。

完全に声、上擦ってたよなぁ・・・


「恵ごめん!だいぶ待たせたよな?」


逆に気を遣われてしまう。



ダメだ、俺。

何かほんといろいろダメだ・・・













to be continued・・・


















Love you all xxx ドキドキ