「お待たせ~!!ごめんね!!」
いつものように待ち合わせをしていると、少し遅れて○○が走ってくる。
「5分遅刻だぞ~!!」なんて近づいて来るアイツにデコピンしようとして…
「きゃっ!」顔を背けた瞬間、ドキっとした。
綺麗な項。少し汗をかいてるのか後れ毛が少し纏わりついてて…
普段はずっと髪の毛を下ろしてるから、項なんて気にもした事なかった。
今日はその柔らかそうなツヤツヤの長い髪の毛を緩くアップにしてるから…
(何なんだ?この感覚…??)
酷く堪らない感覚に襲われる。
「ねぇ、どうしたの?翔太くん??」
何も知らないアイツが無邪気に聞いてくる。
小首を傾げて澄んだ大きな瞳をキラキラさせて俺の顔を覗き込む。
(何かいろいろヤバいかも…)
顔に熱が集まるのを感じ、俺は咄嗟に顔を逸らしながら言った。
「俺腹減っちゃった。早く行こう。」
彼女の手を取って歩き出す。
空は抜けるような蒼。いい天気だ。
良く来る公園のベンチに並んで腰を下ろす。
まだ高校生の俺たちはあんまり自由になるお金がないから、
休みの日はこうして公園でデートする。
小さい時からずっと一緒にいるから、お互いの事は家族の様に良く分かってるし、
学校じゃみんなに冷やかされるからこうやって2人だけでのんびり出来るのが嬉しい。
今日は弁当を作って来てくれたらしい。
昨日観たテレビの事とか最近買ったCDの事とか、
お前といると話が尽きないな、なんて思いながら弁当を味わう。
「ねね?翔太くん。リンゴ食べる??」
「おお。サンキュ。」
一口サイズに切ったのをピックに刺して、
「はい、あ~ん!」
言いながら俺の前に差し出す。
差し出すその手の白さや肌の滑らかさに視線を引き寄せられて、
俺の心臓はまたソワソワし始める。
(俺今日何かおかしいかも…)
平気なフリをしてリンゴを食べると、すぐにピックを奪う。
「じゃあ、お前も。はい、あ~ん!」
「えっ…?」
リンゴみたいに頬を染め、上目遣いにこっちを見る。
(ちょっ!俺の時は平気な顔しといて今その顔は反則だろ…)
俺まで顔が熱くなって来て、恥ずかしそうに小さく開くアイツの口に荒っぽくリンゴを押し込むと、
顔を見られないように抱き締めた…
「…翔太く…」
「ちょっと黙ってて。しばらくこのまま…」
鎮まれ、俺の心臓。
抱き締めているお前の心臓もドキドキしてて、何か嬉しくなって、
腕を緩め肩に手を置いて少しだけ身体を離す。
吸った息をフゥっと吐くと、お前の前髪がふわりと揺れる。
「こっち見て。何かお前、今日たまんない。」
片手を頬に添え、視線をしっかり合わせて伝える。
途端に真っ赤になる。
「ははっ、お前リンゴみたいだぞ?」
そう言ってチュッと触れるだけのキスをした。
「翔太くん、何でそこだけへこんでるか知ってる?」
ベンチの前の左端の地面が不自然にへこんでいる。
知ってるよ。だって俺の癖だもん。座りながら左足で地面蹴るの。
「だからお前そういう事…また黙らせるぞ。」
今度はちょっと深く唇を重ねて…
「これからも2人で来ような。」
もうお気づきでしょうか?島崎藤村の『初恋』です。
私この詩が大好きで大好きで、今日の抜けるような青空を見ていてふと思い出したんです。
詩の中には出て来ないんですが、私の中ではそんなイメージです。
初めてちゃんとした意味を習った時は、オトナだわってドキドキしたな~。
淡い幼い『初恋』じゃなくて、『初の本物の恋』と言ったところでしょうか。
名作を私の駄文なんぞで汚してしまって申し訳ございません。
お叱りの声もごもっともでございます。
本当に、本当に本当に
失礼いたしましたっっ![]()