ひさびさに保険ネタです。
職場の方から、保険についてのご相談を受けました。
その方は某老舗保険会社の以下のような保険に入っているそうです。
死亡保障+医療保障がセットになった掛け捨て保険
保険料 月13000円(終身)
死亡保障 1000万円
3年に1回20万円の生存給付金あり
女性・三大疾病つき
医療(入院)は5日目から5000円
借り入れOK(400万くらいまで)
その方のスペックは40代前半女性、扶養内で働くほぼ専業主婦でご主人は高収入、お子さんは中学生のお嬢さん1人だけです。持病なし。
保険会社の方から、保険料を月に3000円あげれば入院1日目から給付金が出るものにできますよ~と言われたらしいです。
私の回答としては、それ、解約しちゃいましょう!
なんですが、最初からそう言ってしまうのは乱暴すぎるので、とりあえずその保険がどういう作りになっているかを分析しました。
まず前提として、保険の契約するときに、死亡保障と医療保障はできるだけ分けて契約すること。これ鉄則です。
昔は上記のタイプの保険が多くて死亡(生命保険)と医療がセットメニューになっているのが普通でしたが、特に医療の部分が現代の事情にそぐわなくなってきているため、今のような問題が生じます。
これが、死亡と医療が別々だったら、医療をさっさと乗り換えればいいだけの話です。(病気してなければ)
彼女としては、月に13000円払って、3年に1回20万円もらえるなら別にいいかな~と思っていたらしいのですが・・・
13000×12=156000円(1年分)
156000×3=468000円(3年分)
3年で47万払って、20万もらっているというわけです。
3年分の保険料から20万引いた金額が268000円、これが掛け捨て部分です。
これを月額に換算すると約7500円。
これが死亡保障+医療保険の金額だとすると、40代前半の女性にしてはかなり高額です。
掛け捨ての定期死亡保障を彼女の年齢で今から契約するとだいたい月に2000円ほど。(1000万/20年)80歳でも3500円くらい。
医療保険は一番シンプルな1日目から給付金が出る5000円のタイプで2500円。
20年なら4500円で済みます。3000円のおつりがきます。
3000円の差は1年だと36000円、10年だと36万円にもなります。
しかも今の保険では入院5日目から5000円ですが、1日目から出ます。
20年の根拠ですが、そもそも彼女の場合、ほぼ専業主婦なので、高額な死亡保障は必要ないと思います。
かけるならお嬢さんが独り立ちする20年後くらいまでで十分だと思います。
お金には悲しみを癒す力があるので、まだお嬢さんが若いうちに大好きなお母さんに何かあって、お金があるとないとでは違います。
でも彼女の環境だと1000万もいらないかも?
ただ、末期がんになってリビングニーズ特約を利用したり、高度障害になったときなんかも使えるので入っておいてもよいとは思います。
また、彼女が保険から借り入れる可能性も低いです。
(児童手当などがもらえないくらいの高収入世帯です)
子供が医学部に入ったり、将来家のリフォームをするかもしれないし・・・とおっしゃっていましたが、そういう目的のローンは保険よりも低い利率で借りられます。
保険から借りる場合というのは、以下のような事情のあるときだと思います。
1.とにかくすぐに(最短翌日)現金が必要
2.連帯保証人がいない
1はたとえば、大学生が2人以上いる家庭で、ダブルの学費の支払い期限が迫っておりすぐに百万単位の現金が必要なときなど。
2は家族や親戚に頼れる人がいないので奨学金の借り入れ等ができない場合など。(そういった場合でも保証人になってくれる機関がありますが、利子が割高)
彼女の場合お子さんは1人なので、学費だったら計画的に用意できると思います。
しかもご主人が高収入ですし貯蓄もあるでしょうから(ご実家も裕福)保険から借りる状況は想像しにくいです。
それに、借り入れするためだけに1年に36000円、お嬢さんが大学に入学する5年後まででも払い続けたら18万円にもなります。
借り入れの安心代としては高すぎるし、その分貯金しておくほうがよっぽどいいと思います。
口頭で聞いただけなので、書類を見たら実はお宝的な内容があるかもしれないので一度証券を見せてくれたら一番いいですよ~と伝えました。
何かあるといけないので、新しい保険が成立してから古いものを解約するようアドバイスし、同時に新しく加入する保険のリサーチを始めるように薦めました。
生存給付金(いわゆるお祝い金)のある保険にはこのような落とし穴がありますので、気をつけてくださいね!
0歳とか1歳の子なら長生きすると元が取れるお祝い金つき医療保険があります。
大人になってから加入するものはだいたい得にはなりません。