かなり間が開いてしまいましたが二作目です!!
季節感は無視してください。
では、どうぞ!!
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Chorus of Earth ~火~
この世界には、特別な能力を持っている者と普通の人間が存在する。この話は火村という村の村長の息子の次男と三男(双子だが)の話である。彼らは町に怪しい人がいるため、村長であるおじいさんの変わりに、町の様子を見に行くことになったのである。しかし・・・
彼らは売店の前にいた。アイスクリームか、カキ氷か・・・という「別にどっちでもいいじゃん!」と思うほど、くだらないことで悩んでいたのだった。
「まだ決まらないのか?」
今、発言したのは兄のレイナベール(15歳)で、
「はい。決まりませんねぇ」
誰に対しても敬語を使うのは、弟のサガナベール(15歳)である。
「先に頼んでいいか?」
「・・・兄上」
「・・・兄上呼ぶな」
「・・・決まりました」
「・・・そうか」
「・・・バニラアイスひとつと、カキ氷ひとつで」
「カキ氷は何味になさいますか?」
と、背が高く、きちんとした服装の店員が聞いてきた。
「抹茶でお願いします」
すると、今度は小柄で顔も派手な店員が言った。
「承りましたでございますですっ!」
注文を聞いた人と承る人が違うことを不思議に思った二人だが、あえてそれは口にしなかった。しばらくたった後、
「どうぞでございますですっ!」
といい、カキ氷とアイスクリームを渡してきた。
「ありがとうございます」
とサガナベールが言った刹那、張り詰めた空気が流れた。二人が背後から見られているような気がしたからだ。振り返ってみると、一人、フードつきのマントを着て、こちらを伺っている人がいた。その男もレイナベールとサガナベールの視線に気付いたらしく、彼らから離れるように小走りで逃げていった。二人は追いかけようとしたが、サガナベールの手にカキ氷とアイスクリームがあることに気付き、レイナベールが行くことになり、目にも留まらぬ速さで駆けていった。
レイナベールが駆けていった後、サガナベールはあることに気が付いた。『何味になさいますか?』と聞いた店員がいなかったのだった。
そのころ、レイナベールはマントの男と対峙していた。
「お前は誰だ!!」
「我・・・・・・この国を一つにするもの・・・・・・」
「この国・・・人間の方か?俺らの方か?」
「・・・・・・」
「何とか言え!」
「両方ですよ」
背後から声がしたので振り返ってみると、あの『カキ氷は何味になさいますか?』といった店員がいた。マントの男はただ黙っている。レイナベールは、背の高い子に聞いた。
「・・・敵か?」
「ロナは味方です」
そういうと、ロナと名乗った子は懐にしまっていた短剣を抜いた。
「クリナル殿。今度は何をなさるおつもりですか?」
「・・・すべては主のために!」
すると、クリナルと呼ばれた男はマントの下から長剣を抜き放ち、二人の方へと走っていった。すぐさまレイナベールの懐に入ろうとしたクリナルは体をかがめた。レイナベールは左の手のひらをクリナルに向けて唱えた。
「火炎爆破!」
その瞬間、クリナルの前方に半円状の爆発がおきた。レイナベールは命中したと確信した。しかし、その後すぐに、
「油断してはいけません!」
とロナの声が飛んできた。レイナベールが気を引き締めたのと、少しひるんだクリナルが突っ込んできたのはほぼ同時だった。レイナベールは、とっさに後ろに下がり呪文を唱えた。
「火ノ盾!!」
レイナベールの前に厚みのある火の壁が出現した。すると今度は、クリナルが唱えた。
「闇ノ剣」
クリナルが持っている長剣が黒い闇につつまれた。それは、一瞬の出来事でレイナベールは身動きすることができなかった。クリナルはいとも簡単に盾を剣で粉砕し、そのままレイナベールを刺そうとした。するとレイナベールの右側にロナが来ていて、自分も下がるようにしてレイナベールを後ろに引っ張った。しかし、わずかに遅れ、長剣が左腕をかすった。レイナベールはうめき声ひとつあげなかったが、鮮烈な赤いものがしたたっていた。クリナルはチッと舌打ちをした。ロナは言った。
「もう一度聞きます。今度は何をなさるおつもりですか?」
「おしえるつもりはない」
「ならば力ずくでも聞き出すのみ!」
レイナベールは、左腕を押さえながら叫んだ。クリナルは苦笑した。
「あほうなやつがいるなぁ・・・・・・我に勝てると思っているようなら、まだまだだな、若造よ」
「おまっ・・・!」
ロナといっていた子が手でさえぎった。
「確かに二人では勝てない・・・今は我慢して」
「ほう・・・わかっているようだな。しかし、我とて一人ではないからな!」
クリナルは高らかに笑いながら言った。
「この術に耐えてみるがいい!・・・木ノ刃!!」
すると、木の葉が舞い上がり二人のもとへ振ってきた。
「風ノ円盾!」
「炎ノ円盾!」
すると、風と炎がロナとレイナベールをつつみこんだ。盾が二重になったため何とか生きのびることができたが、レイナベールは力を使いすぎたため、そのまま夢の中へと落ちていった。ちょうどそのとき、サガナベールがきた。彼が現場に来たときすでに、クリナルたちの姿はなく、倒れたレイナベールだけになっていた。
レイナベールが起きたのは夕方だった。そこには傷の手当てを終えて、ベンチでひと息ついているサガナベールがいた。
「びっくりしましたよ。兄上が倒れているなんて」
「・・・あ・・・にうえ・・・呼ぶな・・・」
「反抗できるなら大丈夫ですね」
「・・・フッ・・・」
レイナベールは鼻で笑い、ベンチに仰向けになったまま言った。
「何かが始まった・・・」
「何かとは?」
「・・・それが分かったら苦労はない」
「そうですね」
レイナベールとサガナベールは苦笑した。そしてふと思い出したようにいった。
「・・・ロナといっていた子はどこへいった?」
「あの場所にいたのは、兄上だけでしたよ?」
「・・・そうなのか?」
サガナベールはうなずいた。
「どんな人でしたか?」
「売店にいた背の高い子だ・・・」
「・・・あぁ・・・その子に助けられたのですか?」
「助けられた・・・か。・・・そうだな、助けられた・・・」
「とりあえず・・・村へ帰って、叔父上に報告しましょう。兄上」
「あぁ・・・そうだな・・・」
空には雨雲が広がり始めていた。
村長に報告した後、この話はすぐ村々に伝わっていった。すべての村が警戒態勢に入ると聞いたとき、レイナベールとサガナベールは重荷が降りて、ホッとした。さらに、今日の疲れがどっとおしよせてきて、家に帰るとすぐに寝てしまったのだった。(終)
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