第1回 研修医1−2年目、眠れない当直の日々

 

 

10年前の私は、関西にある “野戦病院” と呼ばれた総合病院で初期研修をしていました。

1年目の年収は300万円、2年目で400万円。

同期の話を聞いている限り、大学病院よりはまだ恵まれていたようです。

 

 

とはいえ基本給は20万円にも届かず、月1回紹介された健診のアルバイトをしてやっとこの水準。

当直は3日に1度、夜間も救急車が日よっては10台近く来るので、ほぼ眠れません。

1年目は一晩1500円、2年目で3000円。

深夜に走り回っても、マクドナルドより時給が低いという現実に、若かった私は苦笑いするしかありませんでした。

 

 

もちろん、労基的にはおそらくアウト。

健診業務も今思えば完全にグレーでした。

それでも頑張れたのは、私が労基周辺の知識が無かったことと、真っ当な医師になりたいと思っていたから。

2年間で1500件ほどファーストタッチを経験できたことは、以降の医師人生に大きく貢献してくれました。

またそこで出会った仲間や、ドクターGに出演の機会をいただいたことなど…振り返ると宝物のような時間でもあります。

 

 

当時はUptodateを自腹で契約していて、年間6万円の出費が痛かったことも思い出します。

けれど、幸いにもお金を使う時間がほとんどなく、たまに中程度の外食に行ければ満足。

年に一度、海外にダイビングに行くのが唯一の楽しみでした。

 

 

そんな生活の中で、「私は貯金が好きなんだ」と気づきました。

通帳の数字が少しずつ増えていくのを見ると、不思議と安心して、また頑張ろうと思えたのです。

これは後の “現物投資” に興味を持つ下地にもなりました。

 

 

医師としての最初の2年間は、決してラクではなかったけれど、大切な価値観を育ててくれた時期でした。