患者さんの命をつなぐ抗がん剤。
キチンと投与されたかは、看護師にかかっていると思います。
各病院に抗がん剤投与のマニュアルは完備されていますが、キッチリ守れるかは、看護師の倫理観にも関係してくるんだと感じるようになりました。
マニュアル通りに出来ない看護師もいるんだなーとショックを受けたこともあるので、その悶々とした気持ちをここで吐き出してしまおうと思います。
注)私の勤務する病院では、下記の出来事があった後、意見を出したら、抗がん剤投与は2人体制でやるコトに決定しました。
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以前、私が患者さんに抗がん剤をつないでいた時、患者さんから
『けっこう薬がボトルに残っている状態で、終わりだからって外してしまう看護師さんがいたのよー。完全に入り切らないと的確な量が入らないってコトでしょう?ボトルの下から1cmくらいは残ってたよ』と言われたことがあり、目が点になりました!
全部入れ切りが当たり前です。
ボトルが空っぽになるまで入れないと投与量は変わってきてしまいます。
たいていは、生理食塩水などを流してルート内の薬剤を全て投与します。
体表面積や性別、年齢などを考慮して投与量が決められていますから。
他にも
●キチンと輸液ルートの選択が出来ているか...
●薬剤によって決められている約束事が守られているか...後で詳しく述べます。
●投与時間は正確なのか...
●感染予防は出来ているのか...
など、間違った方法で投与してしまうと、有害事象が出たり、効果に影響したり、感染症を起こしたりしてしまいます。
なので、たった一人の看護師が約束事を守れなかったりすると、大変な事になるでしょう。他の全員がキチンと出来ていたとしても、病院全体の評価につながるので、倫理的な配慮は大切だと思います。
学会等で他病院に勤める看護学校の同級生などと、話をすると、新人も独り立ちをすれば、一人で抗がん剤投与をしているよ!って話を聞きますから、マニュアルは病院によっても違うんでしょうね。
抗がん剤の性質と投与に関する約束事を少しだけお話したいと思います。
●インラインフィルターを通してはいけない薬剤があります。
CVカテーテルから、抗がん剤投与をする場合、メインルートに付属してあるフィルターを間違えて通してしまわないように注意しないといけません。
目詰まりを起こして、正しく薬剤が血管内に入らない場合があります。
アブラキサン(アルブミン懸濁型パクリタキセル)、エトポシドなど。
●インラインフィルターを通して投与する薬剤があります。
パクリタキセル(タキソール)、パニツムマブ(ベクティビックス)、ガザイバ(オビヌツズマブ)、ニボルマブ(オプジーボ)、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)など他にもたくさんあります。
あと、サイラムザ(ラムシルマブ)に関しては、蛋白質透過型のフィルターを使用しなければなりません。
●その他の約束事として、温度管理が必要なもの、遮光管理が必要なもの、絶対に血管外漏出を起こしてはいけないもの、投与時間がものすごい大事なものなど、細かく決められているので、キチンと守ることが大切なのです。
断っておきますが、殆どの看護師はしっかりとした管理下で抗がん剤投与は出来ていると思います。
ただ、倫理観に欠ける人も中にはいるかもしれないので、対策が必要だし、患者さんの命を預かる以上、正しい知識と技術が求められる職業なんです。
患者さんに直接投与するのは、
医師でも薬剤師でもなく看護師ですからね。
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