カツン…カツン…
人のいない薄暗い廊下に、あたしの足音が響いている
カツン…カツン…
窓から見える曇天に負けないほど重い足に鞭打って、目的地までゆっくりと歩みを進める
カツン…カツン…カツン。
足を止め伏せていた顔を上げると、そこには“ 職員室 ”と書かれた重々しい扉
「 ………あーもう、とうとう着いちゃったよ。」
今日は前期の成績を決める重要な試験の日だった
でもある失敗で騒ぎを起こしてしまったあたしは、毎度のことながらパティ先生に放課後の呼び出しをくらった
ただいつもと違うのは、残る場所が教室じゃなくて職員室ってこと
「 う~職員室とか、卒業するまで入ることはないと思ってたのに。
きっとめちゃくちゃ怒られるんだろうなぁ…はぁ。」
あたしは豪華な装飾が施された扉に近寄り、金のドアノブを握った
「 よっ…と 。あれ?」
押してみるが、扉はびくともしない
「 もしかして引くのかな?」
ノブを回して引いてみる…が、やっぱり扉は開く気配が無い
「 なによー先生、人のこと呼びつけておいて鍵かけてるじゃん。
帰っちゃおうかなー。」
「 そんなこと許しませんよ。」
急に後ろから声が聞こえて、あたしは声にならない声を上げた
「パ、パティ先生!びっくりしたぁ。」
バクバクしている心臓を抑えようと胸に手を当てているあたしの横をすり抜けて、パティ先生は扉の前に立った
「 この扉はスライド式ですよ、フウカさん。」
その言葉通りに、パティ先生がノブを掴むと、先生の動きに合わせて扉は軽々と横にスライドした
「えぇーなにそれ!もはやドアノブいらないじゃんっ 」
あたしがノブを憎らしげに見つめていると、パティ先生がため息をつき
「 新入生でもない限り、うちの生徒は皆知っているものと思っていたのですがね。」
「うっ 」
確かに、入学してから今まで職員室に入ったことがない生徒なんて、あたしくらいかもしれない
「 それはそうと、フウカさん。」
パティ先生はあたしを丸椅子に座らせると、いつもの険しい顔を少し和らげた
なんと口元にはかすかな笑みさえ浮かんでいる
(な、なんだろう…怖くない先生とか、逆に怖いんですけど!)
矛盾する思いを抱えながら、先生の次の言葉を待っていると………