はんず。
えいちあんどえすではない。
先日姉と会った際に、私の手(もしかしたら爪だったかもしれない)が羨ましいというようなことを言っていた気がする。話の流れは覚えてはいない。
しかし私はそれにたいそう驚いた。
何故なら私は幼少期から姉の手に憧れがあったからである
私は手の造形が好きだ。手フェチとまではいかないが、造形の好みには一家言あるといっていい。フェチではない。
その時唐突に、私はきっかけとなった手はもしかしたら姉の手なのかもしれないと思い至った。
ところで私と姉の身長は15cmほどは違う。
なのでまず手の大きさが違う。
すらりと長い、どちらかというと節のしっかりした、言ってしまえば中性的な手である。羨ましい。兎角羨ましい。
ピアノだって私の手では1オクターブすら難しいのだ。きっと1オクターブ以上届くであろう姉の手。
幼心に憧れ、大人になれば私もこうなれるのだと信じていた。
なれなかった。
そんな私の理想の手が、良い所などないと言っている。ばかな。羨ましさしかない。
身長と変わらず10代の内に成長を止めた私の手を見る。
これは伝えねばなるまい。私が良いと思うところを。
先に上げた羨ましい点を伝えると茶化して否定していたが、結局のところ隣の芝生は青いものなのだ。
私の主張は伝わった。そう思っておこう。
まぁでも自分の手が心底嫌いな訳では無い。物足りなくはあるけど。
何故なら私は手の造形自体を愛しているのだから。
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上岡かえで
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