262年4日













僕の中で1年で一番忙しいのではないかと思われる日がやって来た。
まあ、自ら忙しくしている…とも言えるわけだけど。
本日4日は、妻の誕生日。
そして、僕達夫婦の結婚記念日だ。
4回目の結婚記念日。
今日から結婚生活は5年目に突入するわけだ。
でも先ずは、朝食の席で妻の誕生日を祝う。
そして結婚記念日のプレゼントに南国の花束をプレゼント💐
いつもなら次はニヴの丘でデートなんだけど、今年は気分を変えてバシアス浴場にデートすることにした。


「今年はニヴの丘じゃないのね」
毎年同じ場所じゃあ芸がないだろ?
「でもユーくんニヴの丘好きでしょ?」
うん、好きだけどね。
昨日の僕の誕生日に、リカちゃんがニヴの丘へ誘ってくれたじゃない?
だから今日はいいの。
「そうなんだ。私はお風呂好きだから嬉しいけどね」
リカちゃんはほんとお風呂好きだよねぇ。
だからかな、子供たちもお風呂好きなの。
よくお風呂連れてってってせがまれるよ。
「あら、ユーくんもなの?私も子供たちからお風呂行きたいって言われてしょっちゅう連れてってるわよ?」
これはほんと、家にお風呂の導入を真剣に検討すべきかもしれないねぇ。
「まあ、家にお風呂があれば特に冬なんかは助かるけど…。いくら家が広いからって、そんなスペースある?」
うーん、もし作るとしたらやっぱり池を潰してってことになるのかなぁ…
「あら、家で釣りが出来るの便利なのに」
そうなんだよねぇ。
あの池こそが郊外の邸宅の特徴だしねぇ。
だとしたら2階の書斎を潰して…
「子供たちの勉強する場所がなくなっちゃうわよ」
そこは、ダイニングでもいいんじゃないかなぁ。
「でも、人の出入りも結構あるし、集中出来ないんじゃないかしら?」
うーん、難しいねぇ…
「お風呂はやっぱりここでいいんじゃないかしら。子供たちだって、泳ぎたくて来てるみたいなものだし」
まあ、家のお風呂じゃ泳げないもんなぁ…
「そうそう」
………ねぇ。
「何?」
結婚記念日だってのに、子供たちの話になっちゃうね。
「ああ、うん、そうねぇ…」
もっとこうさ、恋人時代の時のようなラブラブした会話しようよ!
「ええー?“ラブラブした会話しよう”って言って始めるラブラブした会話って、恥ずかしくない?」
そう?僕は全然恥ずかしくないけど。
「ああ…ユーくんならそうよね…」
ほら、婚約して初めて2人でここに来た時にはさ、もっと初々しい会話してたじゃん。
その頃のこと思い出してさ。
「まあ、あの頃はユーくんでさえちょっと照れてたもんね」
え?僕照れてた?
「照れてたわよぉ。頬が赤く染まってたもの」
のぼせてたんじゃなくて?
「私に?」
お湯に。
「もう!」
冗談だってば!
きっとリカちゃんが眩しかったんだねぇ〜。
「…なんか、棒読みっぽいんですけど?」
そんなことないよぉ〜。
本当に眩しかったんだよぉ〜。
「言い方腹立つ〜!」
ははは、リカちゃんは何歳になっても可愛いねぇ〜。
「ええ?ちょっ、もう…やだぁ〜♡」
ほんと、からかいがいがあるなぁ。
「ちょっと、ユーくん!」
はいはい、大きな声出さないの。
公共の場ですよ。
誰が入ってくるか分からないんだから、マナーは守りましょうね。
あんまり大きい声出すならチューするよ!
「い…意味がわからない。公共の場でキスする方がマナー違反じゃないの?」
そう?結構いるよ、お風呂でキスしてる人。
見たことない?
「ない…わけじゃないけど」
なんなら今チューしとく?
「いや、今は大きい声出てないから」
じゃあお風呂出てからね?
「え?………はい」


バシアス浴場を出てからはそれぞれ別行動をした。
僕は今仲人してる子達の動向をチェックしたり、親友の息子とお喋りしたりして過ごしていた。
ほんの束の間の休憩時間と言ったところか。
昼になってもう一度妻をデートに誘いに行った。
今度は誕生日デートだ。
場所は神殿のアトリウム。
2人で神殿に咲く花を愛でながらお喋りをして、誕生日プレゼントを渡した。
妻は毎年「結婚記念日のプレゼントと誕生日のプレゼントふたつも貰っちゃって悪いみたい」と、少し遠慮しながらも嬉しそうに受け取ってくれる。




そして、4日はこの国の国王陛下と王太子の誕生日でもある。
2人とも僕の親友なので、酒場でお祝いをした。
イェルシーは今年で20歳だ。
時が経つのは本当に早い。
いつまでも長生きをしてもらいたいものだ。
王太子であるアンブローズは呑気な抱負を述べる父親とは違い、しっかりとした抱負を述べる真面目な男だ。
将来の国王になるものとして、国民の生活を知っておかねばならないと農場管理官になって働いている。
頼もしいことこの上ない。
イェルシーにしてもアンブローズにしても、毎年こうやってお祝いできるといいなぁ…。




夕刻からは妻とモネちゃんを誘って水没探索。
いつもは夕刻からお見合い探索をしているのだが、今日は特別な日なのでお休みにしたのだ。
ごめんね、リカちゃん。
本当は2人っきりでデートしようと思ったんだけど、モネちゃん今年魔銃志願しててさ、手伝ってあげたいからさ…
「………え?」
ああ、やっぱり怒ってる?
「いや、いやいや、全然怒ってない。モネさんがいることに関しては全く問題ないのよ。問題はね、今デートっつった?」
ん?ああ、探索デートね。
「これ、デートなの?」
ええ?そこ?
今までも探索デートしてきたじゃーん!
「ええ?!今まで2人で行った探索は、全部デートだったの?」
そうだよ?
え?なんだと思ってたの?
「何って…スパルタ探索?」
なんでそうなるの?
「むしろ、どうやってデートだと思えと?」
「あのー、わたしやっぱり帰りましょうか?」
「え?やだやだやだ、違うのよ?あなたがいることで揉めてるとかじゃないの!魔銃志願してるんならユーくんと一緒の方が探索ポイント稼げるからいてちょうだい!」
「そう…ですか?でも、さっきスパルタとか言ってましたけど…私の聞き間違いですよね?ユーリさん優しいですもんね?私も昔よく探索に連れてってもらいましたけど、別に厳しくなかったし…」
ああ、あれはお見合い探索だからね!
君とエウヘニョのための。
「ええ、ユーリさんのお陰で今わたし幸せで…って、え?お見合い探索と普通の探索では何か違うんですか?」
うん。
だってお見合い探索は男女が仲良くなるための探索でしょ?
だから僕は一切口出ししないの。
でも、探索って本来は強くなるためにするものだろ?
だったら、強くなるためのアドバイスをしてあげなきゃね!
「アドバイスって…」
ん?
「いえ、なんでもない。モネさん、気をしっかり持って着いてきてね?」
「え?…ええ?!…う、ああ、はい」
じゃあ、出発しんこー٩( ‘ω’ )و
「…はぁ………絶対デートじゃない(ボゾッ)」


