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海外医療情報

海外の医療情報についてお届けします

こころとからだを守るやさしい家庭の医学。

外国で元気に暮らす手引き長期滞在者、旅行者必携!渡航前に必要な準備、医師の選び方とかかり方、海外でかかりやすい病気と対策、家庭でできる応急手当て、英語で症状を訴える法など実践的最新情報を網羅。

対訳も英語だけですから英語圏以外に行く人は他の本を選ぶ必要がありますが、主な病気や怪我の応急措置法などもかかれており参考にはなります。
予防接種で予防できる病気

A型肝炎

A型肝炎は食べ物から感染する病気で、アジア、アフリカ、中南米に広く存在します。

発症すると倦怠感が強くなり、重症になると1か月以上の入院が必要となる場合があります。

途上国に中・長期(1か月以上)滞在する人におすすめするワクチンです。

特に60歳以下の人は抗体保有率が低いため、接種をおすすめします。

ワクチンは2~4週間隔で2回接種します。

6か月以上滞在するのであれば6か月目にもう1回接種すると約5年間効果が続くとされています。
医学書『家庭の医学』(時事通信社)のデジタル版。

海外向けではないですが、情報量で他の一般向け医学書とは比較にならない豊富です。

CDに収められたこのバージョンなら持ち運びも容易です。

検索も簡単、かつデジタルならではの動画なども収録されています。


予防接種で予防できる病気

B型肝炎

以前は輸血や医療従事者の注射針による針刺し事故など血液を介した感染が問題とされていましたが、現在ではB型肝炎(活動期)の母親から生まれる新生児期を中心とした感染と、思春期以降の性行為(唾液や体液の濃厚接触)を通じた感染の2つが主な原因となっています。

一般に健康な(免疫不全でない)成人の感染では、ほとんどが一過性感染で、急性肝炎の経過をとるものと不顕性感染となるものがあり、いずれも終生免疫を得ます。

一過性感染例では劇症化して死亡する例(約2%)を除くと、ほとんどの場合は、およそ3か月で肝機能が正常化し、治ります。

ワクチンは4週間間隔で2回接種し、さらに、20~24週間後に1回接種します。

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今日の日本では、寄生虫病にかかる人は少なくなりました。ですが、海外ではとても多くの人が寄生虫病にかかり、そして命を落としています。寄生虫の恐ろしさを知っていただくため、いくつかの例をご紹介いたしましょう。

寄生虫の中には、脳に寄生するものが数多くあり、有鉤嚢虫(ゆうこうのうちゅう)はその一つです。有鉤嚢虫は、有鉤条虫(ゆうこうじょうちゅう)(サナダムシの一種)の幼虫で、主に豚の糞に含まれる虫卵で汚染された水や食品を摂取することにより人に寄生します。この寄生虫は体の様々な場所に寄生しますが、特に脳に寄生することを好みます。多数の有鉤嚢虫が脳に寄生することにより、脳が穴だらけになっていることがあります。有鉤嚢虫が脳に寄生すると、体が痙攣したり、意識を失ったり、失明したり、場合によっては死亡することがあります。有鉤条虫の虫卵は豚の糞だけではなく有鉤条虫にかかっている人の大便にも含まれています。家族が有鉤条虫に感染していると、家族の大便が原因で有鉤嚢虫にうつることがあり、自分が有鉤条虫に寄生されていると、自分の大便から自分に有鉤嚢虫がうつってしまうことがあります。

エキノコッカス症は、主に肝臓に寄生するエキノコッカスという寄生虫の幼虫に寄生されることによっておこる病気です。主にキツネやイヌなどの糞に虫卵が含まれており、この虫卵で汚染された食品や水を摂取することによりエキノコッカスに寄生されます。寄生された後、数年(1~30年)はなにも自覚症状はないのですが、その間にエキノコッカスは、少しずつ肝臓などの臓器を食べ続けており、自覚症状が現れたときには、肝臓は寄生虫に食い荒らされて蜂の巣のようになっています。残った部分も肝硬変を起こして正常な部分がほとんど残っていません。さらに、肝臓から漏れ出た寄生虫が脳、その他の臓器や骨髄などに寄生し、死亡します。

バンクロフト糸状虫は、蚊にさされることによってうつる寄生虫です。症状が全くないことも少なくないのですが、重症化することもあります。この寄生虫はリンパ管、腕や足などに寄生しますが、陰嚢や陰茎に寄生することもあります。陰嚢に寄生すると陰嚢が巨大化し、重症の場合には陰嚢が大きくなりすぎて歩くのが困難になります。江戸時代に陰嚢が巨大化した芸人が複数存在したことが文献(「想山著聞奇集」「東海道中膝栗毛」「北斎漫画」)に記載されています(大きいもので五斗=90リットルくらいあったようです)が、これらの芸人はバンクロフト糸状虫に感染したものだろうと言われています。

寄生虫には、肉眼では見ることの難しい小さな原虫というものと、指でつまむことのできるくらいおおきな蠕虫というものがあります。

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