近年、海士町のまちおこしのニュースを見聞することが多くなっています。それだけ注目を集め、マスコミにも取り上げられているということだと思います。


 ではなぜ、注目をされているのかということですが、隠岐の島の町で地理的にも決して恵まれているというところではありません。それが故に、農林水産物の出荷についても、消費地までの距離などのハンディを抱えています。
その消費地への距離的・時間的ハンディを克服するために、農林水産物の鮮度が落ちない新冷凍技術を導入したことです。


 町の年間予算が20億円程度の予算規模の中、5億円を投入して、新冷凍技術を導入しています。
魚などは鮮度に勝る価値はないといっても過言ではありませんが、冷凍して1年、2年経ったものを解凍しても鮮度に変わりがないということです。


 鮮度が落ちないことから、出荷調整が可能となり、価格も安定することができ、好不漁に関係なく、大漁時にストックが可能で、それまでの大漁時の安値を避けることが出来るようになり、漁業者が値段をつけて販売出来るようになったそうです。


 魚などは一般的には現在でも、入札にかけられ、漁業者が値段を決まらない状況であり、その入札結果によって、漁業者は燃料代も出ないことがあるというのが実情で、完全に買手市場となっています。これは売る物にコスト転嫁できない不合理であると思います。


 それが、海士町では、消費地の料亭などとダイレクトに契約を結び、安定供給を図っているそうです。
要するに、買手市場から売手市場へと変革を起こしているといえます。
これまでの冷凍のように、細胞を破壊しない新しい冷凍技術が生まれ、鮮度を保ったまま長期保存が可能となり、出荷調整ができるようになっています。


 鮮度を生命線とする新鮮な農林水産物の豊作や大漁による値崩れを防止しすることも可能になっています。
この新しい冷凍技術であれば、消費地までの長距離のハンディも鮮度が落ちないために、克服することが可能になります。


 この冷凍技術は、CAS(Cell Alive System:細胞が生きている)=キャス冷凍という技術です。
全国的にも注目を集めているところで、すでに導入をしている自治体もあり、その一つが海士町なのです。
このような新冷凍技術の導入が、二番煎じであれ、三番煎じであれ、指を銜えて見ている訳にはいかないと思います。


 良い物は積極的に導入して行くべきであると思います。そのことにより、宿毛の農林業水産物の販路の拡大を図るべきであると思います。
例えば、キビナゴなどは宿毛ブランドが定着しているようですが、獲れる時季が限定され、当然のことながら漁のない時には出荷できません。


 大漁時に出荷調整をすることで、価格を安定させ、漁のない時でも出荷出来るようになると思います。
現在の漁業者の置かれている立場は、水揚げしたものに対して、値を付けることが出来ない状況で、入札によっては、燃料代もでない時もあるというのでは、何のために漁をしているのかわからなくなるのは当然ですし、漁をする気にもならなくなるのではないかと思います。ましてや、若者が漁業を遣ろうと思わなくなるのではないかと心配されるところです。


 やはり、燃料代なども含めコスト転嫁できるような市場を構築しなければならないと思います。そうしなければ、漁業者はいつまでたっても、鵜飼いの鵜のような状況からは脱出することができないのではないかと思います。
売手市場の形成は、一次産業に携わる方々の所得向上を図るためにも、必要不可欠であると思います。


 まずは、一次産業を基軸とした産業おこしから始めなければならないことはいうまでもないことです。
そのためにも、行政が率先して新技術の導入を図りたいものです。


 また、規格外扱いされる農産水産物については、惣菜などに加工した上で、保存し鮮度を落とさずに消費地へと提供することも可能で、加工をすることで、新たな雇用をもたらすことになると思います。