昔の暮らしの道具考

昔の暮らしの道具考

ハクキンカイロ、灰式カイロ、鰹節削り器、火鉢、煙管etc.暮らしの中から消えつつある懐かしい道具を紹介します。

CONTENTS

くらしの道具
 人の暮らしに寄り添ってきた懐かしい道具を紹介します。
 ぜひあなたの思い出もお聞かせくださいまし。

子どものころ
 昔の道具を見ていると、ふと子どもの自分が蘇ってくる瞬間があります。
 嗚呼、私って・・

徒然なるままに
 ちょっと息抜き。思いつきや身辺雑記などを書いています。

ワークショップ・講習会
 教わってきたことや感動を残すための備忘録的なページです。


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数年前のことです。
古い街道沿いの陶器・植木市で、懐かしい「買い物カゴ」を見つけました。

$昔のくらしの道具考・・・のち時々「猫」-買い物かご320


スーパーで渡される持ち帰り用のビニール手提げ、通称「レジ袋」が普及するまでは、買い物といえば必ずこのくらいの大きさのカゴを持って出かけたものです。

お酒やお米などの重たいものはお店が配達してくれるので、毎日の買い物はその日に食べる食材だけ。これでじゅうぶん事足りました。

底とマチがついていて、肉も魚も玉子も平らに入りますし、大根やねぎといった長い野菜も斜めに寝かせるとちょうど入る大きさです。

そういえば、長ネギの飛びだしたカゴを下げたまま道端で立ち話をするような近所づきあいも、今は懐かしい光景です。

子どものおつかいは、小銭入れひとつ持たされるだけでしたから、いつか自分も買い物カゴを持ってたっぷり買い物をしてみたいなアと思ったことを思い出します。

でも、昭和50年代ごろからスーパーとレジ袋が普及して、買い物カゴはいつとはなしに姿を消していきました。当時、スーパーに行くと持ち帰り用のビニール手提げをくれるから「手ぶらで出かけて買い物ができる!」って大歓迎されたんですよね。

今は地球温暖化対策のひとつに、マイバッグ・エコバッグを持参しましょうって言われるようになって久しいけれど、もともとマイバッグ(買い物カゴ)を持って買い物するのが当たり前だったんだよね・・・

・・というわけで、せっかく買い物カゴを手に入れたのだから使わなくちゃ!と思い立ち、近所に出来たばかりのショッピングセンターに、夫を誘って出かけました。フロアが3Fまであり、シアターが8つも入っている超大型複合施設です。

1Fで当座の食材を買う前にお互い用事を済ませ、2FのBOOKSで落ち合うことにしました。

大型施設だけあって本屋さんの敷地面積も広く、いろいろと面白そうな本が平積みになっています。夫を待ちながらあれこれと試し読みをしていたら、
「お待たせ。行こうぜ」
とようやくやってきた夫がなぜか私を急きたてるのです。慌てて手に持っていた本だけ買ってお店を後にしました。もちろん袋は断って、本はそのまま買い物カゴの中へ。

「なんでそんなに急かすの? ゆっくり見たかったのに」
「あんたさ、気がつかなかった?」
「何が?」
「何がじゃないよ。カゴを下に置いてたろ?」
「だって持ってたら本が見られないじゃん」
「あんたのこと、すごい鋭い目つきの人が見張ってたよ」

どうやら万引きGメンの人に見張られていたみたいなんです、私。
買い物カゴは口が大きいから、商品をぽんと落として持ち帰るんじゃないかって思われたんですね・・・・・。

そう気がついた途端、本がむき出しのままカゴに入っていることが、気になって気になって。万引きしたんじゃないかって言われるような気がして、食品売り場に寄ることなく急いで帰宅しました。

私を観察しているGメンをさらにその陰から見ていた夫は面白かったみたいですケド・・・。
教訓:大きなお店に買い物カゴを持って行ってはイケマセン。

昔の買い物はみんな個人商店だったから、買い物カゴでよかったんですね。

以来、小さく畳んでポケットに入るエコバッグを持っていくようになりました。道具も時代によってどんどん変わっていくのは仕方ないのかな。

え? その買い物カゴはどうしたかって?

今はもっぱら畑仕事のお供です。長靴や鎌、軍手、エプロン、お弁当箱に水筒まで入れて、まだまだ余裕があるんですもん。だいぶ年季が入ってきましたが、まだまだ。長く愛用したいと思っています。