「すべての日がそれぞれの贈りものをもっている」
― マルティアリス 『エピグラム』 ―
たとえば、泣きたくなるほど惨めな一日のおわりに、
どしゃぶりの雨の中でタクシーを拾って帰るとき。
寒そうに傘を握り締めて帰るひと、
かばんやコートを濡らして走るひとを横目に眺めて
車の窓を叩く雨つぶは、本当はきっと冷たくて、うるさいのだろうなと想像する。
タクシーの中は外よりも暖かくて、静かで、ほっとする。
そして、このちいさな贅沢に少し感謝するきもちになる。
こんなささくれた気分のときでも、
<たった710円の贅沢>をありがとうと思える心が
わたしにはまだちゃんと残っている
ということに感謝する。
どんなひどい一日にだって、贈りものはきっとある。
