世界選手権女子SP （2011年4月29日 (金)）
ヨナ首位発進、安藤2位、浅田７位、村上10位
フィギュアスケートの世界選手権５日目となる29日、女子ショートプログラム（ＳＰ）が行われ、安藤美姫がノーミスの演技で65.58の２位、浅田真央はトリプルアクセルが回転不足となり58.66の７位、村上佳菜子は54.86で10位。今シーズン初試合となったキム・ヨナ（韓国）が、ミスはありながらも65.91で首位に立った。【野口美恵】
■安藤、ノーミスの演技で安定ぶりアピール
安藤はノーミスの演技で、今季の安定感をアピールした。３回転ルッツ＋２回転ループ、３回転サルコウ、ダブルアクセルと難なくジャンプをこなしていく。ストレートラインステップの前には、観客と目が合うとにっこりと微笑み、余裕さえ見せた。
「モスクワに入ってから調子が上がらず不安はありましたが、ニコライ（コーチ）から楽しむことがすべてだと言われて、いい緊張に持って行けました。良いフィーリングを(観客に）伝えられたと思います」という。
首位のヨナとの点差はわずか0.33。「フリーは力強いクラシック。今シーズン最後なので、曲と一体感を出せるよう、気持ちを強くもって臨みたいです」と、翌日のフリースケーティングに逆転の金メダルを託した。
■真央「練習で跳べていないのが大きかった」
四大陸選手権で素晴らしいトリプルアクセルを披露し、ひとつの壁を乗り越えた真央。しかし、ここしばらく練習でトリプルアクセルの調子が悪く、モスクワ入りしてからは一度も成功していないまま試合を迎えた。
佐藤信夫コーチからは、トリプルアクセル回避も提案されたが、「自分の意思で決めた」と言い、本番でも挑戦。惜しくも回転不足での両足着氷となったが、その意欲に会場からは拍手が沸き起こった。ジャンプは好調とは言えなかったが、１つ１つ丁寧にまとめようと集中している真央の気力が伝わったのか、１分過ぎからはロシアの観客が手拍子を始める。その手拍子に押されるかのように、力強いストレートラインステップをこなすと、最後まで緊張感を切らさずに滑りきった。
「トリプルアクセルを練習で跳べていなくて、それが大きかったです。でもやることはやって来たし、徐々に良くなっていたので跳びました。今は明日の事だけ考えています」。口を硬く結んだまま、何度もうなずき気持ちを切り替えていた。
■村上「アクセルは練習から緊張していた」
世界選手権デビューとなった村上は、得意の３回転＋３回転ジャンプの２つ目がアンダーローテンションと評価され、またダブルアクセルも着氷が乱れるなど、細かなミスが重なる。「アクセルは練習から緊張していて、ビシッと決めることができませんでした」と唇をかんだ。
山田満知子コーチは、「これだけ大きな大会で緊張しない方がおかしいですからね。これまでが、イケイケＧＯＧＯで来ていたので、今回は小さなミス程度ですんで良かったかな」と少し残念そうだ。
それでも初の世界選手権で、10位発進は悪い成績ではない。村上は「明日は絶対に３回転＋３回転を跳べる自信があります！」と自らを鼓舞し、明日に目を向けた。