創作童話です
ふぞろいな者達がいた。
流行り風が、「普通が良い」とささやいたが、みんな、右を向いても、左を向いても、違うカタチなので、何が普通かわからなかった。
考えた末に、みんなが同じカタチなら、それが普通かもしれないと、削ったり、伸ばしたりして、自分達を同じにしていった。
出来上がったみんなは、そっくりで、「普通かな」と嬉しそうにしていた。
だけど、そのうち、削ったところや、伸ばしたところが、ギシギシと痛みだし、ある日、みんなフニャフニャと倒れてしまった。
少しの眠りの後、目が覚めたみんなは、もとのふぞろいのカタチになっていた。
「また普通になるかい?」
一人の問いかけに、みんなは首をふった。
バラバラの方がいいやと、肩をすくめて笑った。
そうして、ふぞろいな者達は、ふぞろいのまま、笑って仲良く暮らした。