『鉄人28号』、60周年。 | 有栖川まおの愛が止まらないR

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「有栖川まお」のガンダムで倉木麻衣な日々の出来事を綴ったブログです。

 横山光輝先生の代表作である『鉄人28号』のTVアニメ作品の放映が始まって、本日で丁度60年(!!)となります。当然、私はまだ生まれてませんでした…。

 本作は日本初のTVロボットアニメでした。まあ、日本初のTVアニメとなった『鉄腕アトム』もロボットだったじゃないか、と言われてしまえばそうなんですが、あちらの方は擬人化要素が強いですからねぇ。「日本初のTV巨大ロボットアニメ」と呼ぶべきでしょうか…。

 で、何故「28」なのかと言うと、横山先生が子供の頃、神戸大空襲時に撃墜されたB-29の残骸を目にした時のインパクトによる物だそうですが、その機番が「28」だったんでしょうか? 調べてみましたが、該当する機体は見当たりませんでした。この「28」については、その他にも、様々な説が存在しているそうです…

 そして、その米軍に対抗する為の「大日本帝国の秘密兵器」として開発されたのが、鉄人28号でした。光文社の『少年』で連載されていた原作漫画では、当初はこの鉄人は悪役だったのですが、その読者からの人気を受けた編集部が、横山先生に対して正義の味方にするようにとの指示を下したのでした。

 この鉄人は、現在のドローンよろしくリモコンによる遠隔操縦で、

時々敵にそのリモコンを奪われたり妨害電波を受けたりして操縦権を奪われてしまうなど、まさに「良いも悪いもリモコン次第」でした。そうなる事態を避ける為にも、後のマジンガーZ以降のロボットは、直接搭乗して操縦する方式を採用したのでしょう。

 そして、歴代鉄人のライバルメカとなるブラックオックスは、

漆黒のボディ二本角というデザインコンセプトが、後に『パトレイバー』のグリフォンや、『Gガンダム』のマスターガンダムへとオマージュされる事になりました。

 

 この『鉄人28号』は1980年にアニメとしてリメイクされるのですが、旧作との区別を付ける為に、後に『太陽の使者』という副題が付けられる事になりました。

 当初、横山先生はこのリメイクには乗り気でなかったのですが、"天皇"村上克司氏によるこのリファイン版デザインを目にした途端、OKを出したそうです。この『太陽の使者』版鉄人は、バンダイから超合金やキットも発売されていました。

 ちなみに、この『太陽の使者』版の金田正太郎は、当時から「可愛い♥」と腐女子(当然、当時はそんな言葉はありませんでしたが)の間で評判となり、後に「ショタコン」なる言葉を生み出しました。

 「腐女子」と言えば、この『太陽の使者』の後番組が、同じ横山先生の『マーズ』とは全くの別物と化して、かつての私の姉を含む腐女子の餌食となった『六神合体ゴッドマーズ』でした。

 

 1992年には『超電動ロボ 鉄人28号FX』が放送されました。

 本作はリメイクでは無く、旧作の完全な続編として制作され、主人公は金田正太郎の息子である金田正人で、正太郎も旧鉄人を駆って息子をサポートしたり、

鉄人も28号の他に、1号から27号まで登場するという意欲作でした。

 更に、ブラックオックスも可変メカとして登場する事になり、

当初は歴代ブラックオックスと同様にライバルメカだったものの、後に「鉄人29号OX」として、FXの心強い味方となりました。

 しかし、横山先生は、先述の『太陽の使者』の時とは正反対に、この『FX』を「これじゃまるでガンダムじゃないか」と嫌っていたそうです。スポンサーは『太陽の使者』の時のバンダイでは無くてタカラだったのですが…。

 

 そして2004年には、あの今川泰宏監督によるリメイク版が放送されました。

 これは、第1作の完全リメイクを目指した物で、作品舞台も、連載当時の、戦後復興期から高度経済成長を遂げんとしていた昭和30年代の日本だったのですが、今川監督としては、『Gガンダム』と同様のロボットアニメらしい痛快活劇をやりたかったものの、プロデューサーの大月俊倫氏によって予算を制限された為にそれは叶わず、最終回では、横山先生が当初予定していたという、鉄人が溶鉱炉で溶かされてしまうというラストを迎える事になってしまい、おかげで、先述の『FX』とは作品世界が繋がらなくなってしまいました…。

 そして、奇しくもこの今川版『鉄人』の放送の最中に、横山先生が火事で亡くなってしまいました。先生はヘビースモーカーだったのですが、その寝タバコの不始末が命取りとなってしまったのでした…。かように、タバコってえのは肺癌以外にも、引火という危険性があるんですよね。景山民夫なんか、喫煙しながらプラモを作っていた為に、接着剤の有機溶剤に引火して一酸化炭素中毒で死んでしまったそうですが、なんて命知らずな…

 

 現在、阪神・淡路大震災からの復興のシンボルとして、横山先生の出身地である神戸市において、鉄人のモニュメントが建立されています。

 このモニュメントの鉄人は、マジンガーZやRX-78ガンダムと同じ全高18mという設定で製作されましたが(先述の2004年版の鉄人がこのサイズという設定だそうです)、横山先生は、鉄人の全高とかの細かい設定を考えながら描いていたワケでは無く、シーンによってサイズが変わるというアバウトさでした。その手法は、後に『エヴァ』においてパク…もとい、オマージュされています。もっとも、その『エヴァ』の庵野監督の「過去の名作のオマージュ」という手法もいい加減飽きられたのか、今春公開された『シン・仮面ライダー』の興行成績は散々だったそうで…。