友達から、3秒間の電話がありました。
私は、いつものように、
ミシンの前。
ガタガタガターっと
踏むミシンのアナログな音にかぶせて、
リーン リーン と
デジタルな黒電話の音。
あ、Mちゃんだ。
ほとんど鳴らない私の携帯。
でもいつも近くにはある。
出てみると、
「つかぬことを聞きますが」
仰々しい。
「iPod買った時に、USBのコードついてた?」
「ついてたよ」
終話。
久々にかかってきた電話に、
私が許された言葉は、たったの
5文字。
つ・い・て・た・よ
この為に、携帯は私のそばに置かれていた。
そして、しばらくすると、また電話。
あ、Mちゃんだ。
「何度も、ごめん、イヤホンは?」
「あったよ」
終話。
別の単語で対抗したつもりだったけど、
文字数は、4文字。
減っていた。
こうなっては負けていられない。
次来たら、5文字以上の別の言葉で返してやる。
それから待てど暮らせど電話は鳴らない。
電話の位置は前よりずっと私に近づいている。
私の頭の中は、
5文字以上の言葉でぐるぐるしながら、
どれくらいの間、戦闘態勢でいただろう。
相変わらず、ミシンの音が鳴り響き、
聞き慣れた音に、
少しずつ戦闘態勢がやわらいできた。
Mちゃんが、
わざわざ通話料払って電話をかけてきた
私はたった5文字で
Mちゃんが知りたかった事に完全に回答したんだなー
なんと2度目は4文字で。
すると、ミシンの音は濁点が消え、
カタカタカター
と軽快になるのでした。