夕刻にベランダに出ると、東の空まで茜色に染まっていました。ふと見ると宵月が昇っていました。
[816]
東乃 茜尓染 山乃際 清澄天 出之月鴨
ひむかしの あかねにしむる やまのまの きよすむあまに いでしつきかも
東の
茜に染むる
山の際の
清澄む天に
出でし月かも
今宵の空は澄んでいますね。
[817]
久方 月臨照 射干玉 此夜渡 清狩良思
ひさかたの つきおしれりて ぬばたまの このよわたりは さやけかるらし
ひさかたの
月おし照りて
ぬばたまの
この夜渡りは
清けかるらし
一晩中この月は闇夜を照らしてくれるのでしょうね。
[818]
生駒山 臨而照有 宵月波 高嶺裏毛 清狩良思
いこまやま おしててらせる よひつきは たかねのうらも さやけくあるかも
生駒山
おして照らせる
宵月は
高嶺の裏も
清けくあるかも
本歌(元ネタ)
~不詳・万葉集 7-1074
