少年との出会い | Many Happy Child

少年との出会い

私がフィリピンに行って、一番始めに仲良しになった少年。


初めてのフィリピン。

フィリピンに行く一番の目的が現地の子どもたちと仲良くなることだった。

だけど、初めてのフィリピン。

英語も出来ない。

何もかもが初めてずくし。

なかなか、子どもたちと思うように接することができないでいた。

そんな時に、私を手招きして呼んでくれたのが、彼だった。

冷蔵庫からグリーンマンゴーをとりだし、私にくれた。

食べてみたら、あまりにもしょっぱくて、食べられるうような味じゃなかったんだ。

そんな、私の様子を見て、彼は大爆笑。

その時に、子どもたちに対する違和感が消えたきがする。


ある日、彼は自分の宝物を見せてくれるといって、部屋に連れてってくれた。

他の子どもたちと共同の部屋。

大きな棚の一つの箱が彼のもの入れだった。

箱の中にはたくさんのものが、所狭しと入っていた。

「たくさんもの持ってるんだね~」って私は言った。

「こんだけだよ」って彼は言った。

その言葉を聞いた時私は、はっとした。

確かに、彼の箱の中はいっぱい。

だけど、箱の中のものだけが彼のもの。

私は?

自分の机がある。

自分のベットがある。

自分の部屋がある。

自分の部屋以外にも、たくさんの私のものが転がってる。

あぁ・・・自分ってこんなにも物に恵まれているんだ。

すごく考えさせられた。


一番始めに仲良くなったその彼とは、リメンバランス(自分を覚えていてもらうための記念の品)として、私がフィリピンで毎日つけていた、腕時計をあげる約束をしていた。

フィリピンを発つ、最後の日約束通り、彼に腕時計をさしだした。

彼は首を振り、私が一番仲良くなった女の子に渡すよう言った。

彼の思いやりに心が温かくなった。


2回目のフィリピン

再び孤児院に帰ってきた私を一番に出迎えてくれたのが彼だった。

「私のこと覚えてる?」

「覚えてるよ。たえこでしょ?」

そんなやりとりがすごく嬉しかった。


理科や数学がすきなこと、将来は日本に来たいということ、好きな女の子のこと。

たくさんたくさん話した。

食器洗い当番も手伝わされた。

一緒にバスに乗って学校まで見送った。

プールで何回も一緒に滑り台に挑戦した。


最終日、彼は泣いていた。

それを見て私も泣いた。

手紙をくれた。

彼の手紙には、thank you for everything って書いてあった。

私は、彼のために何かできてたのだろうか。

ありがとうを言ってもらえる何かを。


3回目のフィリピン。

やっぱり一緒にいる時間は多くて、もう弟のような存在だった。

いつも顔を見合わせて、笑顔になって。

最後の日。

「また、くるんでしょ?」

「うん!」

いってらしゃいで彼を学校へ見送って、別れた。


彼はもう孤児院にいない。

フィリピンのどこにいるかわからない。

これから先、一生出会えないかもしれない。

悲しすぎる。

彼が私に与えてくれたものは大きすぎる。

そんな私の尊敬すべき大好きな友だちだから、きっとフィリピンのどこかで頑張ってる。

いつか、いつか彼に出会えた時に、私も頑張ってるよって伝えられるように、私も頑張らないと!