「それがあれば、永遠の若さが手に入れられるのよ」


ファンタジー映画のセリフの中でその言葉を聞いたとき、すごく違和感を感じました。

「永遠の若さ」=「永遠の命」


たとえば19歳のまま年を取らない。美しく健康で、活力にあふれた若さを永遠に維持できたら。


ファンタジー映画の中で主人公がどうしても手に入れたいもの、ということは、それを手に入れたら幸せだということなのでしょう。


でもそれって幸せだろうか。

私は「怖い」と感じてしまいます。


終わりの無い命。果てしなく若いまま、容姿も体力も変わらず。

もし自分がそんなことになってしまったら・・・・やっぱり怖い。


死ぬことも怖いと思うけど、終わりのない命はもっと怖い。

終わりがあるからこそ、現在を生きようと思うし、限りある時間でするべきことを吟味しながら選んでいるんだと思う。

永遠に終わりがないのなら、いつやっても構わないから結局何もしないだろう。


そう思うと、無邪気に生まれて、嬉しいことも辛いことも経験しながら成長して、天狗になったり鼻をへし折られたりしながら、そして弱って老いていくというシステムが、どんなに素晴らしいシステムかということがわかります。


人間が、生きながら学ぶために作られた完璧なシステム。


そう思うと、時間が過ぎていくことや、毎年、年齢を重ねていくことが、とてもありがたいことだと感じるようになります。

年を取っていくことは、忌み嫌われている世の中だけど、それが本当はありがたいことだと感じながら生きることができたら、心はとても穏やかになる気がします。


もちろんキレイでいたいし、元気で若々しく生活する努力も楽しい。

でも、ベースに「経験しながら年を重ねるのは素晴らしいこと」というものがあれば、何でもない一日一日が喜びにあふれたものに一瞬で変わってしまう。


最近、そんなことを感じたりしています。