舞踊評論家の編者が、ニジンスキーについて書かれた文献を集め、
それらを訳したり編集して完成したのがこの本
表紙の「薔薇の精」のニジンスキーの横顔が美しい
皆様も既にご存知のように、ニジンスキーの映像は残っていない
だから、私は
彼が有名なバレエダンサーであること以外はほとんど知らない
そして、検索すると出てくるモノクロームの画像が、私には彫像のように感じてしまうのですよ
もちろん美しい彫像
例えば、印象的なポーズ、筋肉質の脚・・・
けど、彫像のように静かに留まっている姿でなくて、動いている(=踊っているダンサーとしての)
ニジンスキーを知りたいと思ったのよね
だから、どういうダンサーだったのか気になったので書籍をさがしたけど
1889年生まれの彼の資料はあまり多くなくて
取り合えず、軽い気持ちで手に取ったが、この本
同時代に生きた人の証言から、彼のダンサーとしての軌跡や人間像が明らかにされていくのだけど、
私には結構難しい本であった (´_`。)
でも、衝撃的な事実を知ることにもなり、それはそれで読書の醍醐味でもある
そして、
この本が難しいと感じたのは私がバレエの知識が全くないからだろうと思う (;^_^A
バレエについての記述を読みながら、その部分の映像があればなぁと、もどかしい気持ちになったもの
ただ、絵や写真が豊富なのでその点ではかなり満足であるし
有名人が残したニジンスキーとのエピソードなどはおもしろかった
例えば、チャップリンのニジンスキー談とかね
さて、
この本の中で印象に残った話はいくつもあるが、
パリで公演していた時に、日本の伝統芸能の能を舞える青年がいるという噂が耳に入り、
是非見たいと希望し、それが叶っていたというエピソードは大変興味深かった
青年は能の装束など持ち合わせてなくて、日本大使館員から紋付羽織袴を借りて舞ったそうだ
ニジンスキーは演者の手の動きに目を凝らしていたが、やがて視線が足の運びにくぎ付けになり、
瞬きもせずつま先の動きに魅入っていたらしい
それが彼に影響を与えたかどうか、そこまでは書かれていなかったからわからないけど
遠い昔の異国のダンサーが日本の能を見たいと願ったこと、そしてそれを見ていたことが驚きであった