前回紹介した論文
の筆頭執筆者の解説はこちら↓今年6月の最新情報です。
希少糖の医療応用 糖尿病および肥満症におけるD-プシコースの役割
少しずつ読んでいきましょう。
1,序文
糖尿病と、肥満および肥満に起因する健康障害を合併した肥満症は、世界的な健康問題であり、新たな治療戦略が求められている。これら、生活習慣病の治療の基本となるのは食事療法、運動療法などの日常生活習慣の改善である。近代の砂糖の大量消費に伴い、砂糖の過剰摂取は糖尿病、肥満症、心血管疾患などのリスク増加に関係し1、砂糖の代わりとなる安全な代替甘味料の関心が高まっている。代替として人工甘味料を使用することで、肥満・糖尿病の予防や治療に有用な可能性2が指摘される一方、人工甘味料が糖代謝を悪化させる可能性が報告3されており、注意が必要である。そんな中、天然由来の希少糖であるD-アルロースの2型糖尿病患者における有効性について、我々は臨床研究を通して検証を行い、糖代謝を改善する可能性について報告してきた。本総説では、D-アルロースの糖尿病および肥満・脂肪燃焼への影響に関する最新の知見を整理し、その医療応用の可能性を検討する。
上記内容の報告3とは↓
で、サッカリンとスクロースは血糖値を上げています。スクロースはプロテインバーなどに使われてます。
2,希少糖とD-アルロースの概要
D-アルロースは、熱量としては0.4kcal/gと非常に少なく、摂取後に血中に吸収されるものの、ほとんどが尿中に排泄されるため、エネルギー源として利用されない4。大量の摂取で消化器症状や軟便などの症状が出現することがあるが、その1日の最大無作用量は0.55g/kg体重とされており5、余程大量に摂取しない限り安全な物質といえる。
パイロットスタデーでは上限1日25gとして糖尿病入院患者に毎食8.5g使用されています。
3,D-アルロースによる食後血糖抑制作用と抗肥満作用のメカニズムについて
パイロットスタデーでは平均で食後最大血糖値が平均20mg/dlほど下がっています。強制的糖質制限薬SGLT-2阻害薬ではもっと下がるのでしょうか。でも薬は尿から糖を排出するので尿路感染症の心配もあります。
<D-アルロースが、白色脂肪組織から褐色脂肪細胞(脂肪を燃焼し熱産生を行う脂肪細胞)様の細胞へ誘導すること(脂肪細胞のベージュ化)で熱産生を促進する可能性が示唆されている。特にミトコンドリア脱共役タンパク質1(Uncoupling Protein-1: UCP-1)の発現が変化する可能性があり、脂肪蓄積の抑制と体脂肪量の減少における新たな機序に関する検討を進めている>運動効果で白色脂肪組織から褐色脂肪細胞に変化させるとらしいですが、運動しなくて効果があるなら運動できない人にも有難く大いに期待したいですが。続く