水と油

 

車好きにとっては悪の提督・ダースベイダーのような存在として描かれている嫁
嫁と車(車好き)はまるで水と油として描写されていますが
本当は、最終的には私の車ライフに対する良き理解者です。

ちょっと長くなるので、スルーしていただいたほうが無難ですが、私の思いを一方的に書きます。


15年ほど前に独立した私は、結構無謀な資金繰りではじめ、お金に非常に困りました。

父はサラリーマンでしたが結構良い給料をもらっていた(らしい)ので
お金に大して苦労した記憶もなくそのまま社会にでて
まあまじめに務めていれば、人並みに稼げて、のほほ~んとやっていました。



そんな人間が独立(起業)して、毎月赤字赤字で10か月目には
本当にもう首をくくる勢いでした。
 

独立(起業)10ヶ月目のある土曜日
私が仕事から帰ってきて、みんなで鉄板で焼きそばを焼いて食べようというときに
ソースが無くてイトーヨーカドーに私が買いに行来ました。

結局財布にお金がなくて、オタフクだとかブルドックだとか買えずに、半値くらいのイトーヨーカドーブランドのソースを買いました。

とにかくそのソースがまずくてまずくて、今でこそOEMで名の知れたところから供給されているであろうIYブランドの食品関係ですが、その頃は自社開発の物が多いのか、とにかくまずい。
案の定、おなかの減っているはずの子供たちが焼きそばを残しました。
 

 

 

万事がそんな感じで、とにかくお金が無くなって
独立して数か月で晩酌を辞め
最終的には食費節約のため牛肉も豚肉も食卓から消え
安売りのガチガチの鶏肉が工夫されて毎日毎日食卓に上がるようになりました。
その鶏肉は上手に調理されていたので何とかおいしく食べられるのですが
本当に安い肉なのがわかるので、赤字続きの自分がふがい無かったです




そんなエピソードの数日後に、夜中に目を覚まして横をみると
声を出さずに涙を流している嫁がいました。
要するに、いつ抜けるかわからないトンネルの中にいる状態に
もう耐えられないとのことでした。



私の資金も貯金も嫁の貯金も底をついて、もう一銭もなくなっていたので、今月以降、1円でも赤字が出たら、もうたたんで、どこかで仕事を探そうと奥さんと約束しました。

その翌日だったか翌々日だったか、嫁に内緒で、私の車(GDB-F)をユー▲スに査定してもらいにゆきました。

それを売ればちょっとでも赤字の足しになるだろうという、浅はかな考えでした。
ユー▲スでの査定額を聞いて、帰ろうとしたときに、ユー▲スの店長さんに言われました。

ユー▲ス :「こんなに大事にしている車、乗り換えですか?」と聞かれたので、
私    :「ちょっとお金に困って、どうしても手放さないといけないのです」
ユー▲ス :「これを売ったお金で足りますか?」
私    :「ひと月は持つかもしれません」
ユー▲ス :「こんなに大事にしている車を売って、それでひと月(倒産を)先延ばしするだけですか?」
私    :「わかりません。でもこれをこれ以上所持し続ける理由が見当たりません」
ユー▲ス :「ではもしお売りになるなら、ここに行ってみてください。もうちょっと値が付くかもしれません」
といって、ショップを紹介してくれました。


その晩家に帰って、
私:「車を売ります、もう金額を聞いてきました」
と嫁になぜか敬語で言いました。

嫁:「とーさん、車売ったら廃人になるから売るのはやめときな。それだったら私も子供を実家に預けて働きに出るから」
と言われました。

食事中にポロポロ涙が止まりませんでした。

結局その月以降、赤字が出ずに、その時GDB-Fを売らずに(その後GVBに乗り換え)何とか今に至っています。




もう一つのエピソードです。

スバル好き、STI好きとして、ことあるごとにスバル開発秘話に出てくるBMWのM3という車に非常に興味があり
以前、BMWのディーラーに行ったことがあります。

その時、高級外車ディーラーにインプレッサで乗り付けるという無謀な行為に対して、全く相手にされず20分放置という強烈な洗礼を受けました。

結局その時にはM3セダンはカタログには載っていたのですが、
本国へのオーダーはストップされていましたので
ディーラーに相手にされていても買えなかったのですが。

それ以降、ずっとM3セダンのMTを探していたのですが、ある日出物を見つけました。
嫁に内緒で土曜日の午後に三宮まで試乗に行き、その強烈なキャラクターに完全にノックアウトされました。

しかし、
「家を買って3カ月後より支払いが始まるのに」
「お気に入りのGVBがあるのに」
と思い、試乗に行ったことも話しませんでした。
 

ところが、試乗の粗品のマグカップを子供たちが見つけて、結局試乗に行ったのが帰宅直後に嫁にばれました。

「出物のM3があったけど、また出会えるだろうし、何も(家のローンが始まる)今のタイミングで買う必要もないから、今回は見送る」
と嫁に伝えました。



翌日の日曜日の夕食時にそのディーラーから電話がかかってきました。
そのM3はオークションに出すので、もし考えるならもう1週間先延ばしにしますがどうしますかと連絡がありました。

「流してもらって結構です」と返事をして電話を切りました。
(流してもらって結構と言いましたが、ディーラーがさらにオークションに流すとかいうシステムがよくわかりませんが
「買う意思があればもうちょっと待ってやるよ」
という意味ととらえて買わないという意思を示しました)



嫁:「さっきの電話は?」
私:「試乗に行ったM3、もうどこかに流れるって」
嫁:「2年探してた車、それでいいの?」
私:「いらない、家のローンが始まるタイミングで買う必要もないし」



食事の後で、三女を寝かせつけたあとで、二人でコーヒーを飲みながら、DVDを見ていて、突然に嫁が
嫁:「車、買ったら?」
私:「えっ?」
嫁:「どうせ来年あたり(5年すぎたあたりで)またインプレッサを買い替えるんやろ?次は何を買うの?」
私:「そりゃ、またインプレッサ。新しい型の。今度は黒かな?」
嫁:「色まで聞いてないって(笑)。また同じの買うの?それ(新しいインプレッサ)はいくらくらいするの?」
私:「フル装備だったら、今のより高くなるかな?450-500万くらい」
嫁:「で、BMWはいくらするの?」
私:「570万、それに諸経費」
嫁:「じゃあ、来年買い替える事思えば、買ったら?そのかわり、大事に長く乗りや。それと文句言わずに、仕事頑張りや。」
私:「文句を言うけど、仕事は頑張ります」


ということで、2年間探し続けた因縁のBMW M3セダンのMTを購入するに至りました。


 

GT-Rの開発者のミスターGT-R水野和敏さんが、
「世間が私とポルシェが仲が悪いって言いますが、私実はポルシェのエンジニアと仲良しですよ」
みたいなことをおっしゃっていましたが、私も迫害されながらも嫁は良き理解者だと思っています。」

 

 


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