連続テレビ小説「オードリー」の再放送 ⑳ | 満天の星Lovelyのブログ

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60周年をあれほどに輝かせながら61周年へと繋げていかれた舟木さん、本当にお見事でした!
2023年もこれからもずっと、素晴らしい夢時間を頂けますように・・・。

         連続テレビ小説再放送 

 

          「台詞や」  「逃げて~」

     

        カット、OK、最高!      日高監督は上機嫌。

             よかった、よかった、最高や。

             お杉、ほんま、ええ顔してたで~~。

              「逃げて~」言うのも迫真あったし、テストより

             100倍良かったわ。今日の芝居、あれ、仕込みか。

       ジョーがテグスを切ったので、転んだのはもみじ(三田篤子)と

       あさひ(山口智恵)の方だった。

      

                       あの人が助けてくれたんや。

     

            前科もんのくせに、ええかっこしやがって。

            本番は一回だけだ。映画をバカにするな。

        腹立ちの治まらないもみじ 

         滝乃が算盤をはじいて、椿屋の収支を計算している頃、

         美月が疲れた顔をして帰ってきた。      

         擦り傷、切り傷、青痣は常識のような今度の撮影現場で、

         苛める人もいるけど庇ってくれる人もいる。

         

      「中内先生、8時にマッサージ、、、」と連絡に来た愛子が見たのは、

       美月が部屋の入口で倒れている姿だった。美月、二人に寝かされる。

      

      「脳貧血の場合は、こうすると血が頭に戻りますから。私も美月くらい

       の時には、よく脳貧血で倒れたんです。」

      「そう、似てるんやね。」(さすがの滝乃も、ここだけは太刀打ちでき

                   ない母と娘の繋がり)          

              美月のうわごと「台詞や」「逃げて~」

 

                 かつどう屋では

      

            これで済む思うたら間違いやで、オードリー。

       あんたの幸様も幸様や。何であんな芝居されて黙ってんねや。

      相手は、勝新でも錦之助でもあらへんで。かませ犬のジョーや。大部屋

      の斬られ役やないかい。落ちたな~、幹 幸太郎も。もう終わりやね。

      

            何でジョーはオードリーを助けたんや。

            監督も喜んでいたけどな~。

            オードリーが好きなんちゃうか。

            あいつだけは何考えているかわからへん                 

            よっしゃ~ちょっとみんな集まってくれるか~。

                    またまた ” もみじ ” の策略が始まった。もみじの策略

            は2連敗、この前の椿屋でも完敗やったしな~。

          美月にニセ電話を掛ける役には、まず、晋八が狙われた

       うちに逆ろうて、撮影所で生きていかれると思うてんのか。

       電話せえへんかったらな~、裸にして火の見櫓につるしたるで~。

       堪忍してぇな、もう~。美月だけは裏切られへん。あいつには大き

       な借りがあんねん。何の借りや。

       

       俺がやったると、青葉虎之助(菊池隆則)が電話の役を替わった。

             台詞のある役は、久し振りやで~。

        長い台詞やな~。青葉城虎之助、一世一代の大芝居や。

        ちゃ~んと、みんなの役もあるで~。 ほんまや~。

      大部屋の俳優たちははしゃぎながら、芝居仕立ての美月おびき出し作

      戦を演じた。

 

      美月は39°の熱が出ていたが、明日は美月が大京映画に入って初めて

      の撮影お休み。明日は一日寝て過ごそうと話しているところへ

      

       演技事務の三田村さんて人から電話や。病気で寝ている言うたけど、

       緊急の用事やて。と、滝乃が取り次いできた。やっぱり断るという

       お母ちゃまを、美月は「やめて。余計なことせんといて。」と制し

       て電話に出た。受話器の向こうでは、事務所らしくソロバンをはじ

       く音。監督、到着しました、3番ステージに入ります、、まだ美月

       に連絡が取れないのか、、など、映画会社の事務所らしい喧騒が飛

       び交っていた。

      大京映画事務の三田村です。今日の吉岡さんのお芝居、監督が気に入っ

      てしもうて、銀次郎の故郷に残した妹の役も急遽吉岡さんにやってもら

      いたいと言うんですわ。突然の追加シーンで悪いけど、あんたもチャン

      スやしね~。二役でっせ、二役。(吉岡への連絡はまだか~との声が入

      る)もしもし、そういうことやから。

      それは台本にないシ-ンなんですか。 あ、あ、そうそう、監督のヒラ

      メキやね。よかったね~二役ができて。今晩急に撮ることになったんや。

      判りました。すぐ出ます。15分で着きますから。

      衣装はええから、とりあえず3番ステージに直行して、監督のシーンの

      説明あるよって。

      判りました。

      (晋八、必死になって電話を止めようとする)あかん。

      (寅之助、次の言葉が出てこない。)

            誰や、こんな時ヒマ取ってるアホは。

            ほな、よろしくね。

      

      こんな身体で行ったら、死んでしまうえ。

      死んでもええの。行かへんかったら、絶対後悔するもん。

        だったら、行きなさい。仕事の責任て、そういうものなんでしょ。

        そやから私は反対したんや。

      

       かつどう屋の表戸に首を揃えて、美月が撮影所に向かうのを見て

       いる大部屋の先輩たち。

      

         すみませ~~ん。吉岡美月、遅くなりました。

         とても撮影をしているような気配はない。

       上の階で、「えい、えい、えい、えい ~ ~ ~」 と、声がする。

      

      大部屋で、ジョーが居合いの稽古をしていた。「また騙されたのか。」

      「今日は、ほんまに有難うございました。」

     

    「ここは、お前のようなお嬢の住むところじゃない。邪魔だ。」「帰れ」

    「お嬢様は女優にはなれへんのですか。椿屋の娘と言われてますけど、生

     まれたのは椿屋の隣の家なんです。家が二つあって、母が二人いて、本

     名佐々木美月、芸名吉岡美月、あだ名はオードリー、3つの名前にさん

     ざん苦しめられて生きて来たんです。」

 

    「いいじゃないか、名前が3つもあって。生まれた時から名前のない人間

     もいるんだぜ。」「錠島さん、何で私を助けてくれたんですか。」

    「帰れよ。NGが嫌だっただけだ。」「帰りません。」

    「ここはお前には似合わない。」

                美月倒れる。

            ジョーの部屋に寝かされている美月。

 

       電車の到来を知らせる踏切のカンカンという音。通り過ぎる電車。

       こんなアパート、生まれて初めて見た。錠の字が彫られた居合い

       の木刀。宮本武蔵の本。

 

                                         ジョーを想う美月

    

                  椿屋では

       夕べの電話は、ウソだった。

       翌朝早く、滝乃が関川の自宅に電話して確かめると、夕べ、撮影なん

       かしていなかったということだった。

            「じゃぁ、あの電話は何だったのか。」

             男か、いじめ連中の嫌がらせか、監禁か。

                 この前椿屋に押しかけて来た連中がやっているに違いない。京都府警の

                 お偉いさんに電話しようか。愛子は滝乃よりは冷静に判断できた。

                 美月はもう社会に出た大人であるから、親があの子を守ることが、かえ

                 って逆効果になることもあるのではないか。ここはもう少し様子を見て

                 から、、と。美月のことになると尋常ではいられない滝乃は、不服そう。

 

      美月が椿屋へ帰ると、心配していた滝乃と愛子がどこで何をしていたか

      美月を問い詰めるが、滝乃の方が「無事に帰ってきてくれたのだから、

      もうええわ」と、疲れている美月を思いやる。

      撮影はウソやってん。銀次郎の妹役の撮影なんて、なかってん。けど、

      撮影所には行った。それは、ほんまや。撮影所で一晩何してたの?

      覚えてへん。気分悪なって大部屋で倒れててん。もう大丈夫。けど、

      疲れた。

        あの人のアパートに比べて、私の部屋は贅沢やった。私のために、バ

                  ラの花を活けてくれる人もいてる。けど、あの人には誰もいてへん。

疲れ果て、眠り続ける美月